〜亜細亜の槍〜
名称長さ重さ特徴地域
鉤棒
(こうぼう:コウパン)
140〜170cm1.5〜1.8kg棒(バン)の一種だが剣身・鉤爪を持つ穂先が付いている
柄には金属で強化したところもあり本来の打撃要素も含まれている
鎧を着た者にも十分に通用した為広く流布した
中国/北宋〜清
鉤鎌槍
(こうれんそう
:コウリェンチァン)
200〜250cm1.8〜2.2kg槍の穂先と鉤爪を持った槍
槍として突き刺すほか、鉤爪で歩兵を引き倒したり騎兵を引き落としたりする
中国/唐〜清

(さ:チャー)
280〜300cm2.2〜2.5kg漁具・農具から発展した二又、あるいは三又の槍
複数ある穂先によって出来た傷は複雑な傷を与え、刺突の際の命中率を高め、攻撃を受け止めるという便利な物
騎兵が用いた物は『馬叉(ばさ:マーチャー)』、両穂先が前向きなら『文叉(ぶんさ:ウエンチャー)』、片側が下向きなら『武叉(ぶさ:ウーチャー)』と呼ぶ
中国/唐〜清

(さく:シュオ)
400〜600cm5.0〜9.0kg非常に長い柄を持つ長槍の総称
片手で扱えるように肩から掛けて支えるための縄が取り付けてあった
穂先にはかかり鉤が付いており、突き刺せばなかなか抜く事が出来ない
騎兵用の物を『馬槊(ばさく:マーシュオ)』、歩兵用の物を『歩槊(ほさく:プーシュオ)』と呼ぶ
中国/三国〜清
筅槍
(せんそう
:シェンチァン)
300〜400cm3.5〜4.0kg
(枝:金属=6.0kg)
竹を柄にして小枝を4〜5本残した枝の先に穂先を取り付け柄を継ぎ足した槍
残してある小枝は攻撃を受け止めるたり刀剣によって切り落とされないように工夫された物
同様の武器で「狼筅」があるが当初はそれより扱いやすくする為枝を少なくし、後に効果を高める為に枝を金属製にし、機動性を犠牲に防御面で有利にした物もある
中国/明末期〜清初期

(そう:チァン)
300〜800cm2.5〜6.0kg蜀の諸葛亮孔明が開発した大量生産出来、軍団で使うことで戦場において優れた効果を発揮する武器
『矛(ぼう)』と『ハ(ひ)』という槍の原型でもある武器も存在する
槍を使った様々な武術の流派を生み出す
火器が主力になる時代まで主力の武器となる
中国/三国〜清
ダング
(Dung)
210〜360cm3.0〜4.0kgソケット式で細長い両刃の穂先をと同じくソケット式の金属製の石突を持つ槍
柄には金属製の帯を螺旋状に巻きつけてあり、補強と滑り止めの役割を施している
適度な長さのバンドが付けられていて移動時には肩に掛けて持てるようになっている
騎兵が用いる物は『ワング・マ・ブム』と呼ばれ西欧ランスのように真っ直ぐ構えて扱う
4m級の物もあるが長さ・重さから騎兵でしか扱えないとされている
チベット
金党
(とう:タング)
150〜180cm1.6〜2.0kg金偏に党と書く
西欧のコルセスカや日本の両鎌槍に似た武器
穂先に左右に展開された月牙を持つ
月牙は攻撃を受け止める為に追加された物で、刃はついていない
威継光が使用した歯翼月牙金党(しよくげつがとう:チーイーユエヤータング)が有名
中国/明
ドゥサンガ
(DoSanga)
150〜180cm1.6〜2.0kgムガール帝国の兵士が用いた二又の槍
ミリタリーフォーク(別項:長柄槍・欧美)に類似しているが農耕用具だった訳ではなく意図的に二又にしている双方の穂先には切刃を備えている
ペルシアの騎兵達が用いていた物を起源としており、歩兵用として柄の長いドゥサンガもあり西欧では『フォークパイク(ForksPike)』と呼ばれている
穂先はソケット式の一体型でレリーフが施されてあったり切刃が波打った形状をしている物もある
インド
ドールバシュ
(DoorBash)
200〜300cm1.8〜3.5kgムガール帝国で用いられた特殊な役割を持った槍
穂先は他の槍とは違い、真っ直ぐではなくやや上向きに緩やかに曲がっている
農耕具であるフォークと同じ形状をしている
ドールバシュという言葉を訳すと「よけさせる」という意味で邪魔になる者を兵士が追い払う為に用いたとされている
一種の権力の象徴となるもので豪華な模様を施したり宝石で装飾した物もあった
インド
パチスターニャ
(Patisthanaya)
150〜200cm1.2〜1.8kg穂先は短く両刃で小さな突起を左右対称に取り付けた槍
ウィングドスピアーに類似しており、純粋に突く事だけを目的に作られている
左右の突起も同様に深々と突き刺さらないようにする為の物
石突にも穂先が設けられてあり、山岳地帯でも扱えるようにしてある
スリランカ/インド

(ひ:ピー)
300cm2.5kg兵馬俑で発掘された春秋戦国時代に用いられたとされる幻の武器
茎(なかご)を持った剣身に似た槍身を柄に差し込んで着柄するもので矛との違いはソケット式かどうかの差
剣身を持つので突く他に切ることも出来る
中国/春秋戦国

(ぼう:マオ)
200〜560cm1.5〜5.5kgソケット式の両刃の穂先を竹や木の柄に取り付けた槍
戈と共に古い時代から存在する刺突を目的とした長柄武器
徒下の兵士が使う4.5m級のものを『酋矛(しゅうぼう:チウマオ)』、戦車兵が使う5.4m級のものを『夷矛(いぼう:イーマオ)』と呼ぶ
しかし一般的には2〜3mの物が主流だったとされる
中国/商〜唐
方天戟
(ほうてんげき
:ファンティェンチー)
180〜220cm3.0〜3.5kg宋の時代に作られたもので、戟ではあるが槍(そう)の発展型の武器だと考えられる
宋の時代では既に戟という武器が存在しない為だが、戟も槍も用法は同じなので戟の名が付いてもおかしくは無い
槍穂の左右に三日月形の月牙が設けてあり打ち込み、薙ぎ切り、受け止めが出来る
なお、片側だけに月牙があるものを『青龍戟(せいりゅうげき:チンロンチー)』、『戟刀(げきとう:チータオ)』と呼んだ
中国/宋〜清
マルドギール
(MardGeer)
70〜200cm0.5〜1.2kg直訳すると「人を捕らえる物」、「マンキャッチャー」
先端が二又になった物干し竿を上げる物の様な穂先を持った物と長柄の槍に鉤爪を追加した物とがある
二又の物は敵を押さえつける為に、鉤爪は敵を引き倒したり馬上の相手を引き落とす為に用いられた
二又の方は長柄であり、集団で使って威力を成す物で鉤爪の方は短く相手を倒して突き刺すという事を一人で行える様にした物
インド
狼筅
(ろうせん
:ランシェン)
400〜460cm2.0〜2.5kg枝を残した竹を柄として用いた槍
日本刀に容易に切り落とされないよう用いられた
しかし枝もそのまま残してあるので迅速な行動の邪魔になる
中国/明


戻る


inserted by FC2 system