ルナティックドーン 前途への道標
〜剣士【芹雄】の冒険記〜

〜 第十章 〜

冒険者


   その日の午後、対岸に着いた芹雄一向暫く船員達と話をした後、深森の街を目指し街道を進むのであった。暫く進んだ所で、もう一組の冒険者達と出会う。
良く見ると昨日助けた旅人だ。冒険者だったようだ。まだお礼が言い足りなかったのか?と思った芹雄は馬車を止める。 相手リーダーが降りてきたのでこちらも降りて向かい合う。相手リーダーは女だった。

リーダー:「あなたは芹雄ですね?」

芹雄:「…? そうだが?何か。」

 答えるといきなり右手を上げた。すると馬車から仲間が3人出てきた!武装して構えている。

芹雄:「…何の冗談だ?面白くないぞ。」

ファンチ-ヌ:「どうかしたの?芹お…えっ、何?何なの!?」

 外の異変に気付いたファンチーヌが心配して外を窺った。

リーダー:「面白く無くて結構!芹雄!アンタの持っている【降魔の利剣】、大人しくこちらに渡しな!そうすれば命だけは助けてやるよ。」

芹雄:「ふむ…では、もし「やらん」と言ったらどうする?」

リーダー:「ハン!知れた事。力尽くで奪い取るまで!」

 改めて剣をこちらに向ける女リーダー。芹雄はやれやれと言った感じで馬車に居るファンチーヌに向かって

芹雄:「ファンチーヌ、悪ィけど俺の剣持ってきてくれ〜。」

 と、頼んだ。少ししてファンチーヌが【降魔の利剣】を持って芹雄の元にやって来た。

ファンチ-ヌ:(ねぇ…危ない雰囲気だけど、何が起こってるの?)

 相手に聞こえないように耳打ちする。

芹雄:「あぁ…性質の悪い強盗だ。」

 と、無遠慮に言い放った。当然吃驚するファンチーヌ。

ファンチ-ヌ:「せッ!芹雄!なんて事を!」

芹雄:「いいんだよ。強盗なんてやってるようじゃ、冒険者はオシマイだ。」

リーダー:「何とでも言いな。こっちはその剣が手に入ればそれで良いんだ。さぁ…渡してもらおうか!」

 手を差し出す相手リーダー。しかし…

芹雄:「はぁ?誰が「やる」なんて言ったよ。あんたらの冒険者家業は俺が終止符を打ってやるって意味だよ。勘違いすんなよ、オバサン。」

リーダー:「お…おば…どうやら死にたいみたいだねェ…だったらお望み通り殺してあげるよッ!掛れッ!」

 一斉に襲い掛かってくる冒険者達。スラリと剣を抜き構える芹雄…とファンチーヌ。

芹雄:「おや?なんだ。ちゃっかり武装してるじゃんか。馬車に戻ってもらおうと思ったんだけどな。」

ファンチ-ヌ:「…なんとなくね…相手武装してたし。」

芹雄:「ま、いいや。取り敢えず後方からの攻撃を心掛けてな。……ところで藍玲はどうした?」

ファンチ-ヌ「寝てます…」(涙)

芹雄:「はは……っと!来るぞ!気をつけろ!  …ん?」

《ビュン!》

芹雄:(矢か!?…マズイ!)

 『ドッ…』
ファンチーヌが狙われていたので咄嗟に腕を伸ばし、突き刺さったが矢を止める事に成功。(この様に、ゲーム中での戦闘中は仲間を庇う事も出来る。)

芹雄:「ちぃぃッ!抜かった…弓使いの伏兵か。(ゲーム中は伏兵は有得ません)

ファンチ-ヌ:「あ…ありがとう、芹雄!手は大丈夫!?」

芹雄:「あぁ…心配ない。かすり傷だ。」

 実際、大した攻撃力は持ってなかったらしく(芹雄本体の防御が強いのもあるが)、微かなダメージだった。

ファンチ-ヌ:「あの…なんか貫通してるみたいなんですけど…?」

芹雄:『ぷちゅ☆』(←矢を抜いた)「う〜ん、まさか伏兵がいたとはな…油断した。弓兵か…厄介だな…」

ファンチ-ヌ:(ほっ…そんなに痛くないんだ(?)…)「来るわ!どうするの?」

芹雄:「今は遠距離武器持ってないし…仕方ない…奥義を使うか…」

 そう言い、懐から緑色の珠【忍の宝珠】を取り出し、目前に掲げる。仲間を作って以来使ってなかったので、ファンチーヌは何なのか判らない。

ファンチ-ヌ:「な…何?何をするの…?」

芹雄:「刮目せよ!我は忍の達人なり!分け身の術により汝らを討つ!」

 そう言うや否や、宝珠が輝き出し芹雄が一瞬霧の様に消えたかと思うと突如4人に分身して出現。そしてそれぞれが敵一人一人に斬りかかる!

リーダー:「な…!なんですとぉぉぉぉ!!!」

 突然の怪奇現象に驚愕する敵リーダー。しかし、吃驚するのも束の間…『ザスッ』『ドスッ』『バシュ』と立て続けに攻撃がヒットする音が。 当然芹雄の(分身)攻撃がヒットしている。

リーダー:「ぎぃやぁぁぁぁぁ!!!」 

部下戦士A:「ぐ、ぅぅッ…」

部下戦士B:「うわぁぁぁッ!!」

 ―――と、一気に殲滅。各々が断末魔の叫びを上げて死んでゆく。

部下弓兵『ザンッ』「のわーッ!」

 ………後一人忘れてました。遠くにいたので少し遅れて、しかもちっさく聞こえた。
そして、あっという間に一掃。また霧散した芹雄。そして元居た場所に戻った。体力を1割使ったので深く呼吸をする。

芹雄:「ふぅ…ッ。まさかこんな所で奥義を使う羽目になるとはな…」

ファンチ-ヌ:「な…なに?芹雄、今のは何?それに達人って…?」

芹雄:あぁ…実はだな…俺は――――」

藍玲「紅焼猪肉〜!!」(ホンシャオスーロゥ=豚の角煮)

芹雄:「―――なんだ。」

 いきなり会話に乱入してきた藍玲。やはり寝惚けている

ファンチ-ヌ:「……え?ほ…ホン?」

芹雄:「……藍玲…おはよう。」

藍玲:「ほえ?ワタシの分は…?」

 《ポカリ》
まだ寝惚けていた様なんでツッコミが入る。今回はファンチーヌが。

藍玲:「はぅ…痛いアル…あや?なんで外に…」

芹雄:「…夢遊病ですか?おはよう。良く眠れたか?」

藍玲:「あ、そか。寝てたんだ。オハヨ、二人とも…あれ?あ…あ……れ…?…ひ…人が…し、死ん…で……」

ファンチ-ヌ:「…で、なんでしたっけ。説明して。」

 取り敢えず、藍玲に何があったかを説明して、後で移動しながら説明すると言い、次の行動に移った。
その行動とは…戦利品集めである。こいつらはれっきとした冒険者だったので装備品以外は戦利品として回収できるのである。 装備してる物でも珍しい物なら回収可能。追剥ぎ・盗賊と変わらんが、この世界ではこれが冒険者のルールである。

芹雄:「どれ。リーダーは、と…………はぁ。やっぱりなぁ…部下3人は…げ!何も持ってねぇじゃねーか!くはぁ…」

 結局見つかったのはリーダー―が持っていた【ヒールポーション(体力回復)】2個【リストアポーション(状態回復)】1個【ランプ】2個【シリンダキー(マスターキー)】2個。 通常価格で合計しても千ゴールド行かない(1回の宅配で1500ゴールド)し、第一売ったとしても半額になるんでしょぼい事この上ない。

「アイテム分配カードゲーム」…この世界の冒険者のルールの一つ。報酬品・戦利品・探索中に発見したアイテムはゲームをして勝者がその所有権を得る、というもの。因みに金は均等に分けられる。
ゲームの内容はブラックジャックに似たようなもの。伏せられたカードを2回までめくる事が出来、10に近い者が勝ち、11以上では負け、1回目でストップする事も出来る。というもの。
取り敢えず回収し、町に着いたら分配を始める。それもルール。

 町に向かって移動を始めた。そして芹雄は本当の能力の事を二人に告げた。
しかし、予想に反して特に非難は受けなかった。「最初に言って欲しかった」とは言われたがそれだけだった。 武器やアイテムの事も、「下手な買物するよりマシ」「使い勝手はいいので問題無い」という意見で済んだ。結果、心配はしなくて良かった事に。 と、いうことで何の蟠りも無く今まで通り旅を続ける事になった。


 そして深森の町に着く一行。酒場に行き早速戦利品の分配を開始する。

芹雄:「では分配を始めるぞ。」

藍玲:「よ〜し。ワタシ、負けないアルよ。」

ファンチ-ヌ:「体力回復は必須だからね。戴くわ!」

 二人はやる気満々である。が、当然そんなしょぼいアイテムなんて要らない芹雄は…

芹雄:「んじゃ、頑張ってな。」

 と、本当に興味が無いと言わんばかりに腕を組んで俯いた…と言うより寝に入った。 只でさえ前の船着場で足止め食らってたのに冒険者に襲われた時のタイムロスを無くそうと、芹雄が休まずに馬車を走らせたので無茶苦茶眠かったのである。 静かに休ませようと言う心遣いなのか、何も言わずに二人でゲームを始めた。ライバルが減るから黙ってただけかも知れんが。
 芹雄が目を醒ました時には分配は終了してて、2人とも飲み物を飲みながら休憩していた。起きた事に気付く二人。

ファンチ-ヌ:「あら、起きた?」

藍玲:「オハヨー。芹サン。」

芹雄:「ん…おはよ。って、しまった…そんなに寝るつもり無かったんだが…」

ファンチ-ヌ:「大丈夫よ。2時間くらいしか経ってないから。」

芹雄:「そうか…すまん、待たせちまった。起こしても良かったんだが…」

藍玲:「ウウン、構わないアルよ。何もしてなかった訳じゃないから。」

ファンチ-ヌ:「そう。情報を集めてたんだけど…噂程度のものばかりだったわね。ここの依頼も見てきたけど今出来るものは無かったわ。」

芹雄:「成る程ね…さて、と。休憩終わり!さっさと依頼を終わらせるか!その後でメシにしよう。」

二人:「了解!」

 そして、まず宅配依頼の「呪いの菊人形」を情報屋に持って行く。
「一体何の為に?」と訊くと、そっぽを向いてこの日、彼はそれ以後、喋らなくなった。一応仕事は達成したので情報屋を出て次に向かった。

 次は道具屋に売ってある「越中ふんどし」を買いに行く買物依頼。
道具屋の主人に堂々と「白いふんどしをくれ!」と言い放ち、購入。仕事達成。

 宿屋に戻り、食事をする。8日ぶりのまともな食事で余りの美味さにガツガツいってしまう。舌の飢えていた藍玲は終始「むほー!」と言っていた
その後、東方都市に向けての準備に掛かる。馬車の手配・食料の調達…全て整えて東方都市に向けて出発した。

――――――そして復路にでた芹雄一行…無事東方都市に辿り着けるのであろうか!?
以下次号ッッツ!


第十章

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