ルナティックドーン 前途への道標
〜剣士【芹雄】の冒険記〜

〜 第二十六章 〜

船上、それは戦場



 芹雄がバイラーダスに帰って来て10日…既に夜になっていた…
夕食を済ませた芹雄は酒場のカウンターのいつもの席でボーっと依頼書や達成情報書を見ていた。
座って読み物をしてるだけではなく、時には飲み物も注文する。

【芹雄】:「マスター、いつものくれー。」

【マスター】:「……ん?って、お前芹雄だったのか!!」

【芹雄】:「何言ってんだ、今更。」

【マスター】:「い…いや。つーかお前、何でそんな浮浪者みたいなボロローブ被ってるんだよ!妖しさ大爆発だぞ!?」

【芹雄】:「あぁ、これ?趣味。」

【マスター】:「嘘吐け。」

【芹雄】:「ンだよ、その冷たい反応は。まぁいい。そろそろあいつらが帰ってくると思うんで、驚かそうと思ってな。」

【マスター】:「だからってそんな薄汚い格好で一日中っていうのは…正直追い出そうと思ってたんだぞ?」

【芹雄】:「その時はその時で、マスター半殺しの刑に処すので大丈夫。」

【マスター】:「大丈夫ちゃうわ!!」

【芹雄】:「はいはい。怒るとイボ痔になるぞ。」

【マスター】:「なるかッ!!って言うか、意味解らんわ!」

【芹雄】:「あー、はいはい…悪かったから。作ってくれよ。」

【マスター】:「ったく…んで、芹雄…聞きたい事があるんだが。」

【芹雄】:「なんだ?女将さんの他に好きな人が出来たのでバレない浮気の仕方か?」

【マスター】:「違うわ!!…はっ!ち、違う!違うからな?織江!芹雄!お前、何つー事を!!」

 厨房内では…恐ろしい殺気を放ちながら目を光らせている女将が

【芹雄】:「…んで。なんだ?」

【マスター】:「あぁ。いや、まぁ些細な事なんだが…冒険者が注文する飲み物っつったらやっぱ、ワインとかエールとかだろう?」

【芹雄】:「んー、まぁ殆どの人はそうだろうなぁ。」

【マスター】:「で、何でお前はジュースなんだ?お子様じゃあるまいし…弱いとかか?」

【芹雄】:「いや、飲めない事も無いんだが…好きじゃない。でも下戸って訳でもないからな?一応。」

【マスター】:「にしたって、ミルクとか茶とかコーヒーでも…」

【芹雄】:「ミルクはあまり飲んでないから、下しかねん。茶はいいとしてコーヒーも好きではないな… なので、この店特製のミックスフルーツジュースが美味くて最高。俺にはこれさえあればOKサ!」

【マスター】:「そうか…解ったよ。ほら、特製ミックスジュースお待ちどうさん。」

【芹雄】:「おう、さんきゅー。」

 ≪ぐびり≫

【芹雄】:「んぷぷぅ!!美味いでちゅ!」

【マスター】:「…何者だお前は…」

 壊れた芹雄に呆れるマスター。そして溜息を吐いた時――
≪カラカラ…≫
――と、入り口の戸が開き、3人の冒険者が入って来た。

【マスター】:「いらっしゃ…おお、あんた達か。」

【奈香】:「こんにちわ、マスター。」

【藍玲】:「ニーハオ、マスター!取り合えず、ワタシ糖醋肉塊と乾焼蝦仁と炒飯ネ。」

【ファンチ-ヌ】:「マスター!芹雄はもう帰って来てる!?」

【芹雄】:(うむ、ばれてないな。フフフ…我ながら完璧な変装だゼ!)

【奈香】:「もう、ファンチーヌさんったら…挨拶くらいしましょうよ。」

【ファンチ-ヌ】:「あ。あはは、そうだった。ごめんねマスター。こんにちわ。」

【マスター】:「おう。みんな相変わらずだな。特にファンチーヌは。」

【ファンチ-ヌ】:「も、もう…いいじゃないですか、別に!…でも、帰って来て貰わないとちょっと困るのよね。」

【藍玲】:「そうアル!ワタシ達みんな経験値スッカラカンね…もう修行出来ないアルよ。」

【奈香】:「でも、芹雄さんにしては凄く時間掛かってますね…」

【マスター】:「なぁ、あんたら…それは芹雄を信用してるから、なのか?。」

【三人】:「?」

 三人とも眉を上げて『なにが?』といった表情でマスターを見る。

【マスター】:「いや…芹雄が旅先で死んだとか…そういう心配はしないのか?」

≪ボフッ!≫

【芹雄】:「ゲフッ、ゲフッ!」

【三人】:「?……!?」

 三人とも目を見開いた後、3人顔を見合わせ…た後、いきなり咽た謎の浮浪者に驚いてそちらをちら、と見た。

【芹雄】:(あ…あのおっさん!何てこと訊きやがる!)

【藍玲】:「芹さんが…死ぬ…?」

【芹雄】:(藍玲…)

【三人】:「…………ぷ。」

【芹雄】:(『ぷ』……?)

【藍玲】:「あはははは!ないない!!あの人だったらそれは絶対にないアルね!」

【芹雄】:「!?」

【奈香】:「ふふっ。芹雄さんは恐らく殺しても死ないのでは?」

【芹雄】:(奈香…それは不死人だ…)

【ファンチ-ヌ】:「そうよねぇ。額に『无』って書いてそうだもんね。」

【芹雄】:(それは本当に不死人じゃないか!こいつら俺の事を何だと思ってやがるんだ!畜生!!)

 ≪ぐびぃっ…ごっ、ごっ…≫

【マスター】:「そ…そうか。だったら、別の若い女と組んで既に旅に出たとか…?」

≪ボハっ!≫
≪ぴく。≫

 芹雄は一気に飲み干そうと傾けたが、マスターの台詞で一気に吹き出した。
笑っていた3人もその言葉に反応して動きを止めた。

【芹雄】:(な…何つー事をいうかなこの人は!……って…あ、あれ?皆どうしたのかな〜?)

 3人ともしかめっ面で口に手を当ててそれぞれ考え事をしていた。

【芹雄】:(お…おい……まさか!?)

【藍玲】:「有り得るアル…」
【奈香】:「有得ますね…」
【ファンチ-ヌ】:「有得るわね…」

 3人揃って同じ答え

【藍玲】:「芹サンならやりかねないアルね…」

【ファンチ-ヌ】:「若い娘を見ると見境なく声かけてるからね…」

【奈香】:「騙されてなければいいんですが………声掛けられた女の人。」

【芹雄】:「って、うぉい!!」

【ファンチ-ヌ】:「あら芹雄。居たの?」

【芹雄】:「う、うわー……淡泊な反応ー……」

【奈香】:「もぅ…居るなら居るって最初から言って下さいよ。紛らわしい!」

【芹雄】:「そ…そこまで言うか?」

【藍玲】:「何?そのマント…ストーカー気取り?……キモっ。」

【芹雄】:「ひ…酷ぇ…な、なんだよ!ちょっと驚かそうとしただけだろ!?何で全然驚かれなかった上にここまで言われなきゃならんのだ!?」

【ファンチ-ヌ】:「とにかく…どうしてこんなに時間が掛かったのか。部屋でゆっくり聞かせてもらうわ!!」

 ≪ガシッガシッ≫
奈香と藍玲に両側から腕を掴まれる。

【芹雄】:「ちょ、ちょっと待て!…別にここでもいいだろ!?」

【ファンチ-ヌ】:「いいから……来なさい!」

 カッッツ!!
物凄い形相と鋭い眼光を芹雄に向けるファンチーヌ。

【芹雄】:「はっはいぃぃ!行きます!逝かせていただきますぅ―――!!」

【マスター】:「達者でな…」

【芹雄】:「永遠に合えない様な別れの挨拶すんな――………」

 そして芹雄は女3人に連行されて行く…

―――――そして芹雄の部屋。
部屋に押し込まれる芹雄に続き、3人が入ってくる。
≪バタン!≫
――と、勢いよく扉が閉められる。

【芹雄】:「うわっとと……」

【三人】:「…………はぁ……」

 3人が一斉に溜息を吐く。

【芹雄】:「あのさ…遅くなったのは誤るからさ。機嫌直してくれよ…な?」

【奈香】:「別に怒ってる訳ではありません。」

【芹雄】:「…へ?」

【藍玲】:「お帰りアル、芹さん!」
【ファンチ-ヌ】:「お帰り、芹雄。」
【奈香】:「お帰りなさい芹雄さん。」

【芹雄】:「え?え…な、何?……た、ただいま。」

【ファンチ-ヌ】:「あの芹雄がなかなか帰ってこないんだから心配するに決まってるでしょう!?」

【芹雄】:「す、すまん…」

【藍玲】:「マスターの言葉にはちょっとドキッとしたアルね。」

【奈香】:「あの時の話をするのかと……ハッ!!」

【芹雄】:「?…『あの時』?」

【ファンチ-ヌ】:「とーにーかーく!!無事に帰ってきて何よりだったわね。」

【芹雄】:「『あの時』って何?」

【奈香】:「そうです!ようやくこれでまた皆で一緒に行動できますね。」

【芹雄】:「なぁ…」

【藍玲】:「さぁ、芹さん!今度こそ『世界美味い物巡り&湯煙温泉紀行・美女連続殺人事件…犯人は芹雄だった!』に行くアルよ!」

【芹雄】:「げ…結局それかよ!?っていうか、温泉まで行くのか!?その前になんだそのクソ長いタイトルは!?つーか、俺が殺人犯かよ!推理物なのにタイトルで終わっとるわ!」

【藍玲】:「ねーねー、芹さーん!行こーよーぅ!」

【芹雄】:「あーあー、解った解った…皆はどうなんだ?美味いもん巡りの旅でいいのか?」

【ファンチ-ヌ】:「いいも悪いも…自然にそうなる気がしてならないわ…」

【奈香】:「そうですね。もう藍玲さんを止める事も出来なさそうですし。」

【芹雄】:「そうか…まぁ、実際にそうなるかはさて置き。他の街に行くか。」

【藍玲】:「やった!世界の料理、食べまくるアルよ〜!」

【ファンチ-ヌ】:「やっと訓練の成果を試せるわね…」

【奈香】:「足手纏いにならないように頑張ります!」

【芹雄】:「んじゃ、明日発つから準備だけして今日はゆっくり休むように。」

【三人】:「はーい!」

【芹雄】:「あーっと。その前に…聞きたい事がある。酒場での事なんだが。」

【藍玲】:「な…何アルか?」

【芹雄】:「あの反応…あれは俺だと判っての反応だな?」

【ファンチ-ヌ】:「…は?」

【芹雄】:「ローブ被ってて判らない様にしてたのに…なんで判った?」

【奈香】:「あぁ、その事ですか。簡単ですよ。」

【芹雄】:「な…何ッ!?どこが!?完璧だったのに!!」

【藍玲】:「あ、たぶん芹さんは知らないアルね。」

【芹雄】:「何がよ?」

【ファンチ-ヌ】:「あの席はね、あなたしか座らないの。いわば専用席ってやつね。」

【芹雄】:「はぁ!?そんなの聞いてねーYO!!」

【奈香】:「まぁ…マスターと私たちが勝手に決めたようなものですから。」

【芹雄】:「んがっ!?俺はめられたみたいじゃねーか!もういい!お前らみんなに出てけ!!」

【ファンチ-ヌ】:「じゃ、また明日ね〜。芹雄。」
【藍玲】:「はーい!お休みー。」
【奈香】:「ではまた明日…。」

 そう言って3人は部屋を出て行った。

【芹雄】:(…ったく!……あ、そういえば『あの時』って何だったんだ?………………まぁ…いいか。)

≪ふぅ…≫
と溜息をつく芹雄。

【芹雄】:(さ、俺も準備して寝るか…んーと。あ、あれ?)

 何かに気付き、体を探りまくる。身に着けてないのが判明し、部屋の中を隈なく探す。
暫く部屋を探し、ようやく気付く。

【芹雄】:(そうだった…達人の証…あいつらに全部あげたんだったっけ…うあー!格好つけてあんな事するんじゃなかった! また達人からガメるのかー…面倒臭ぇなぁ…取り合えず栗原仮面から宝珠頂いてくるか…あー、でも今日はもう遅いし明日にするかー。)

 と、妙に長い説明調の考え事をして、出発の準備をして、寝る。


 次の日、目が覚めた芹雄は朝食をとった後、マスターに言伝し、忍びの達人を探しに外に出た。
広場に出ると…居た。今日も爽やかに変体ルックの栗原仮面が。
早速挑戦する。

【芹雄】:「こんにちわ。アナタは忍びの達人ですね。」

【栗原】:「そうだが…む、そうか。この忍びの奥義を受け継ぐ私に挑戦したいのだね?」

【芹雄】:「まぁ、平たく簡潔に略して遠回しに言えばそうです。」

【栗原】:「…………???よ、よく解らんが、受けて立とう。正々堂ど―――」

【芹雄】:「死ね―――――!!!」

≪ブオンっ!!…ズガッ!!≫
芹雄の振るう一撃が達人を捉えた…かに見えたが、得意の敏捷で寸での所でかわされる。
剣圧と降魔の利剣の放つオーラで地面と向かいの壁が少し抉れた。

【栗原】:「ふぉっ!?い、いきなりか!?せめて体勢を……」

【芹雄】:「ッ…避けやがったか。」

【栗原】:「す…凄い殺気だ…やらなければ…殺られるっ!」

 意を決したように修羅刀を手に取り、斬りかかって来る達人。
芹雄も負けじとかわしつつ反撃…敏捷は上でも武器の攻撃速度で負けている為、攻撃回数は向こうが上。
しかし、防御力に凄まじい差があった……というか。
服を着ているか着ていないかの差なんだが。
向こうには達人専用頭防具を着けているが、こちらの忍の装束には劣る。それに攻撃力も段違いである為、それほど時間は掛からずに勝負はついた。
というよりも、2発で終わってしまう。
≪ガギッ!≫
芹雄の攻撃が忍びの達人の修羅刀を弾く。

【栗原】:「むぅっ!」

【芹雄】:「俺の勝ちだな。」

【栗原】:「あぁ、参った。お主の勝ちだ。――さぁ、私の時代は終わった。これからはお主が達人となりこの証を守ってくれ…」

 すると、おもむろに腰に巻いてある物に手を掛ける栗原。

【芹雄】:「!?あんた何し……」

≪するり……≫

【栗原】:「これを…」

【芹雄】:「お"わ"―――――!!モザイクッ!モザイク!!」

【栗原】:「これが忍びの証だ。受取れ。」

【芹雄】:「いらんわッ!!つーか、違うわ!!」

【栗原】:「む…そうか。残念だ。では代わりにこの『たま』をやろう。」

【芹雄】:「そうだ。最初からそれを……って、待て!どこを触っている!?その『たま』じゃね―――!!」

【栗原】:「えっ?」

【芹雄】:「『え?』じゃない。もういいから忍の宝珠をくれ…疲れた…」

【栗原】:「あぁ、そんな物でいいのか。ほれ。ついでに持ってる道具も全部やろう。」

【芹雄】:「あ、どうも。あれ?あんたはいいのか?」

【栗原】:「ああ。俺もう引退するから。達人じゃなくなったら辞める事になってるからな。」

【芹雄】:「あ、そうなのか。ご苦労さん。」

【栗原】:「あぁ、じゃぁな。」

 そう言い、栗原は立ち去った。
結局ふんどしは締めず終いだった

 宿に戻った芹雄。仲間と合流し、いよいよ冒険の再開である。
馬車を借り、街の外に出る。

【奈香】:「ところで芹雄さん。最初はどこの町に行くおつもりですか?」

【芹雄】:「うん。最初は島繋回廊を通って鈴音の町に行こうと思う。」

【藍玲】:「その町はどんな美味しい料理があるアルか?」

【芹雄】:「結局それかよ…あー、鈴音の町はな海に恵まれた所で、東の海峡は潮の流れが速く、そこで育った魚は身が引き締ってかなりの美味だそうだ。」

【ファンチ-ヌ】:「やけに詳しいわね。」

【芹雄】:「はっはっは。伊達に何年も旅してる訳ではないわ!!」

【奈香】:「お一人で、ですね。」

【芹雄】:「言わないでくれ…マジで凹むから。」

【ファンチ-ヌ】:「まぁまぁ…さ、目的地が決まったんだから、出発よ。」


 ――――『島繋回廊』。大陸と東方の島を繋ぐ海道。貿易にもこの街道が使われているほど往来が多い。
怪物は滅多に出現せず、身を隠す所が少ない為盗賊も出没しない安全な道。
芹雄達一行はその道を馬車で移動中である。
鈴音の町まで7日…既に2日目が経とうとしており、途中の渡し舟の船着場まで、もう少しである。

【藍玲】:「あぅあぅ〜…身の引き締った鮮魚アルかぁ…魚香季魚と、清炒魚片と…あ、あと蟹とか貝とか……」

 しかし藍玲はずっとこの調子である。
もういつもの事なのだろうか。慣れた仲間は特に気にしない様子である。

【芹雄】:「……前から思ってたんだが、なんだ?あの言葉。あれも食べ物の名前なのか?」

【奈香】:「えぇ、そうですよ。ちなみに、『魚香季魚』は、魚のチリソース和え。『清炒魚片』は白身魚をあっさり炒めた物のことです。」

【芹雄】:「へぇ…変わった名前だなぁ…」

【奈香】:「ふふ…でも私達にとっては馴染みのある呼び方ですから。」

【芹雄】:「ふーん…美味いのかねぇ?」

【奈香】:「んー、これは一般的な料理ですから作る人次第ですね。でも、基本的に美味しいですよ。」

【ファンチ-ヌ】:「ま、グルメの藍玲が食べたがる料理なんだから当然美味しいでしょ。」

【芹雄】:「んー、そうなんだろうけどさぁ…」

【ファンチ-ヌ】:「? 何か問題でもあるの?」

【芹雄】:「いやな…竜江料理だろ?でも…」

【奈香】:「あ、そうでしたね。」

【ファンチ-ヌ】:「?」

【芹雄】:「鈴音の町は日紫国だ。」

【藍玲】:「あ…あんですとぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」

 国が違う事だけはちゃっかり聞いていた藍玲がいきなり大声を出す。

【藍玲】:「じゃ、じゃぁ竜江料理は無いアルかぁ!?」

【芹雄】:「まぁ…無いだろうな。近い物はあるだろうが。」

【藍玲】:「………………」

【芹雄】:「まぁ、竜江にも寄るからそのうち食えるって。」

【奈香】:「そうですよ。そんなに気を落とさないで。ね?藍リ……」

【藍玲】:「松茸と鼈鍋に鮎の塩焼きと…」

【芹雄】:「って、なんかブツブツ言ってる―――!!」

【ファンチ-ヌ】:「切り替えが早いというか…これが藍玲なのよね…」

【三人】:「はぁぁ…」

 そうこうしてる内に船着場へと到着。丁度着いていた船に乗船。
しばらくして出航――――
ファンチーヌ・藍玲・奈香は船室に入っていき、芹雄は一人、甲板に出て潮風に当たっていた…

 船旅という物はモンスターに遭遇しにくく安全だ、と言われているが…本当にそうなのだろうか?
―――そこに懐かしく響く、天の声。

<セリオス>:[これはおそらく海の漢達が退治してるんじゃないかなー、とか思うんですよ。俺は。]

【芹雄】:「ハァ?ネタか?」

<セリオス>:Σ(゚Д゚)[ひでぇ…た、確かにネタですけども…]

【芹雄】:「久々に出て来たと思ったら…そんなくっだらねぇこと考えてんじゃねーYO。ヴォケが。」

<セリオス>:[そ、そこまで言わんでもええやん…なんでそんなに機嫌悪いんだよ。]

【芹雄】:「誰かさんのネタの所為でえらく恥ずかしい思いをした。」

<セリオス>:[あー…ま、ええやん。どうでも。最近モテモテ街道まっしぐらだし。軽いもんだ。]

【芹雄】:「それもお前の所為だろうが――――」

【船員A】:「敵襲―――!!前方、1時2時方向多数の影!……あれは……鳥人の群れです!!数凡そ50!!」

【芹雄】:「ぶ。マジやんのかよ…………おい!……消えたか。」

 その報を聞き、船長と船員が甲板に出てきた。目標を確認すると、船長が叫ぶ。

【船長】:「総員、第二戦闘配備だ!急げよ!」

【船員】『アイアイサー!!』

 そして、武器を取り散らばる船員。主に敵が来る方に固まるが、他戦力に備え、後方にも配備につく。
そして、船長が甲板に出てる乗客と、客室に居る乗客に現状を知らせると同時に安心させる。

【船長】:「乗客のお客様に申し上げます!間もなくこの船はモンスターの襲撃を受けます。甲板に出ておられるお客様は船室へお戻りください。」

【乗客】:≪ざわざわっ…≫

 ざわめく客。

【船長】:「しかし、ご安心を。我が船の船員達は並みの戦士クラスの戦闘能力を持つ者ばかり!いつモンスターが襲って来ても退治出来るように訓練しております!」

【乗客】:≪おぉ……≫

 安堵する乗客であったが、芹雄は…

【芹雄】:(相手は鳥人だろぅ…?並みの戦士クラスでは厳しい筈だ…)

 そして間もなく、戦闘が開始される。
鳥人が向かって来る場所に武装した船員が集まり、襲ってきた敵を集中攻撃して退治している。
しかし相手は飛行系。あっという間に船自体が包囲され、破壊され始める。
それに気付いた船員はそこに向かうが戦力が分散。いい的になり、逆に集中攻撃を浴びる羽目に。
かなり苦戦を強いられている様子。それを見ていた芹雄は、船長に話しかける。

【芹雄】:「なぁ船長。この状況、大丈夫なのか?」

【船長】:「はっ、大丈夫です、お客様。ご心配なさらずに船室のほうで―――」

【芹雄】:「俺だよ。船長。」

【船長】:「え……おお、芹雄君じゃないか!乗っていたのかね!」

【芹雄】:「あぁ…とにかく、今はそれどころじゃない。どうなんだ?。」

【船長】:「あ、あぁ…そうだった…正直なところ、かなりまずい状況だな。退治は出来ると思うが、かなりの被害を被る事になる。」

【芹雄】:「そうか。では俺達が出よう。」

【船長】:「そうして貰えるとありがたい………ん?俺達?一人じゃないのか?」

【芹雄】:「うっせ。いつまでも以前の俺と思うな。んじゃ、仲間呼んで来てくれるか?藍玲とファンチーヌと奈香だ。」

【船長】:「解った、では非常に心苦しいが任せる!」

【芹雄】:「あいよ。」

 そして、芹雄が戦闘に参加。しばらくして3人も出てきて、戦闘が始まる。

【芹雄】:「ふむ。船員達も結構頑張ってるじゃないの。この6体だけ何とかすればいけそうだな。」

【ファンチ-ヌ】:「まぁ、中級のモンスター群ってところね。」

【藍玲】:「今の私達の敵じゃないアルね。」

【奈香】:「でも油断は禁物ですよ…ッ!来ます!」

【芹雄】:「お前達の修行の成果、見せてもらう。いくぞッ!」

 と、意気込んだ割にはあっさり勝利してしまう

【芹雄】:「まぁ、判っちゃいたが…それほどまでに皆強くなったって事か。」

【藍玲】:「ふっふっふ。いつまでも芹さんのお荷物じゃ無いアルよ。」

【ファンチ-ヌ】:「剣士なんだからこれ位楽勝じゃないとね…」

【芹雄】:「でも奈香が武器で戦うとは思わなかったな。」

【奈香】:「あ、あはは…修行してたら魔法より武器のほうが強かったので…実戦でもやっぱり効率いいかなー、と思って…」

【藍玲】:「つまり、実験みたいなものだったアルか?」

【ファンチ-ヌ】:「それにしては結構…喜々としてなかった?」

【奈香】:「そっそんなことありませんよ!何言ってるんですか…」

【芹雄】:「…確かに。あの動きはしにがm―――」

≪スッ≫≪ビクッ!≫

【奈香】:「何か言いましたか?芹雄さん…」

 物凄い冷たい殺気と共に首筋に鎌槍を当てられ、息を呑む芹雄。

【芹雄】:「い、いや…なんでもないんだ。気にするな。あっはっは。」

 笑ってはいるが、体と声が震えており、滝のように流れる汗で濡れた顔は青ざめ、半分手を上げている。

【船長】:「おぉ、芹雄君。ありがとう、君達のおかげで助かったよ。」

【芹雄】:「何、構わんさ。船が沈んだら元も子もないからな。」

【船長】:「ところで…何で仲間に殺されそうになってるんだ?」

【芹雄】:「ちょっとしたコミュニケーションさ。」

【奈香】:「あっ!や、やだ私ったら…」

 やっと我に返った奈香。慌てて武器を引く。

【芹雄】:「引く…?」

≪つぷっ。≫

【一同】:「あ。」

≪ぶしゅー!!≫

【芹雄】:「わ――!おわ―――!!」

【奈香】:「きゃぁぁぁ!!ごっ…ゴメンなさい!ゴメンなさい!!そんな気は無かったんですー!!」

【ファンチ-ヌ】:「謝るのは後にして、早く『恩恵札』!!」

【奈香】:「そっそうでした!!…我は与う、温光の―――」

【藍玲】:「やっぱり芹さんって、女で身を滅ぼす体質みたいアルねー。」

【芹雄】:「この状況で落ち着いて言うな――――!…はふぅ……」
≪ぱた≫

【ファンチ-ヌ】:「あ!芹雄!ちょ……興奮しすぎ!!」

【奈香】:「あぅあぅ…傷口が……私の恩恵札では回復が追い付きません…」

【ファンチ-ヌ】:「そこの水兵さん!!乗客に医者か僧侶がいたら呼んで来て!!」

【船員】:「わ、解りました!」

【ファンチ-ヌ】:「船長!包帯とか薬は無いの!?」

【船長】:「あ…あぁ。今持って来させている…」

【ファンチ-ヌ】:「そう…ほら、芹雄…頑張って。死んだら駄目よ…もうちょっとだからね……」

【船長】:(………なんか……モンスター襲撃より騒ぎになってるような…)

 船長と芹雄の苦悩は続く…
そして、無事対岸に辿り着き、馬車に乗り換える一行。
鈴音の町目指し、一直線に進む。やはり安全な道なので敵に遭遇せずに町に辿り着く事が出来た。
ただ、日は既に暮れようとしていた…


 いよいよ(ようやく?)新たな一歩を踏み出した芹雄とその一行。
この世界美味いもん巡りの旅(また名前違う)が吉と出るか凶と出るか…
それは作者にも判らない…

……ようは、ネタが出来てないって事だね?アハッ♪
すいません……_| ̄|○


第二十六章

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