ルナティックドーン 前途への道標
〜剣士【芹雄】の冒険記〜

〜 第二十七章 〜

離別



 ――――深森の町―――――

早いもので、『世界美味いもの巡りツアー』(毎回名前が違うような気がするが)が始まってから、もう1年が過ぎようとしていた。
……え?話が飛んでる?

……
………

うるさい黙れ。

 一行はスタート地点の東方都市の隣町、深森の町に着いた。
とうとう美食ツアーも最後の町……そしてある者にとってはこの4人の旅の終着地になる―――

【芹雄】:
「さて、まずは宿を探さないとな。」

 町の案内板を見て、宿を探す芹雄。
馬車預け、降りた他の三人は体を伸ばしたり、軽いストレッチをしたり深呼吸をしたりした。

【藍玲】:
「あぅー…やっと着いたアルー…」

【ファンチ-ヌ】:
「う"ー…なんか疲れたわ…」

【奈香】:
「相変わらず座ってるだけというのはやはり辛いですね…」

 そして、芹雄は宿を決め皆に出発する事を伝える。

【芹雄】:
「よし、ここだな…皆、行くぞ〜。」

【三人】:
「はーい。」

 そして、宿に向け歩き出す一行。しばらく歩くと旅館と食事処が一つになった建物の前に着く。なかなか大きな所だった。
その旅館の名は【旅館 松本】とシンプルであった。
その看板を見て藍玲に異変が起きた。

【藍玲】:
「…松、本………?……まさか、ね…」

【芹雄】:
「?」

 中に移動しながら会話をする。

【芹雄】:
「今回は知らん宿だから好き勝手出来んからな。大人しくしてるように。」

【ファンチ-ヌ】:
「はーい。…って、なによ!それじゃいつもは私たちが好き勝手して迷惑掛けてるみたいじゃない!!」

【奈香】:
「…ファンチーヌさんと藍玲さんの場合、否定できないと思います…」

【ファンチ-ヌ】:
「なっ…そ…そんな事無いわよ!ねぇ、藍玲?」

【藍玲】:
「………」

【ファンチ-ヌ】:
「…?……藍玲?」

【藍玲】:
「…えっ?な、なな何アルか!?」

【奈香】:
「どうしたんですか?いつもの調子が出てませんけど…どこか具合でも…」

【藍玲】:
「…ううん、別に体調が優れないとかそんなんじゃないアル…ただ、ちょっと考え事…」

【芹雄】:
「どうせお腹が減って力が出ないよ〜てな状態だろ?まっはっは。」

【藍玲】:
「………」

【芹雄】:
「あ…あり?」

【ファンチ-ヌ】:
「芹雄は黙ってさっさと手続き済ませてくる!!」

【芹雄】:
「は…ハッ!イエス・サー!」

 敬礼し、そしてダッシュで受付に向かっていく芹雄。

【奈香】:
「…あの人は何人なんでしょうか…」

【ファンチ-ヌ】:
「大丈夫?藍玲…長旅で疲れた?…もうすぐ芹雄が手続き終えて帰ってくるから、部屋ですぐ休んだ方がいいわ。」

【藍玲】:
「…ウン……そうする…」

 そして手続きを済ませ部屋の鍵を持って来た芹雄が帰ってきた。

【芹雄】:
「おう、戻ったぞ。ほら藍玲、これをやろう。」

 と、おもむろに取りだした印章を藍玲に渡す。
そこには『特別審査員:藍玲』と(バイラーダス共通語で)書かれていた。

【藍玲】:
「…? 何アルか?」

【芹雄】:
「なんか一週間後、この町で美食大会、バイラーダス一の料理の鉄人決定戦をやるらしいんでな。」

【藍玲】:
「えぇ!?ホ、ホントアルか!?」

【芹雄】:
「んで、さっき受付で宿泊者にだけ抽選やってて、なんと審査員に当選してしまいました。」

【ファンチ-ヌ】:
「うわ、スゴーイ!超ラッキーじゃない!」

【芹雄】:
「まぁ、一人だけなんだけどね。こういうのは藍玲に適任だし、それに…んー、まぁ、そういうことで藍玲にやろう。」

【奈香】:
「わぁ、良かったですね、藍玲さん。」

【藍玲】:
「ウン!芹さんありがとう!!」

【芹雄】:
「うん、そうそう。藍玲は元気なのが一番だ。」

【ファンチ-ヌ】:
「おおっと、芹雄さん?元気がない人にプレゼントで元気付ける…得点稼ぎですかな〜?」

【芹雄】:
「ばっ…ちげーよ!バカ!」

【奈香】:
「ふふっ、顔が赤いですよ?照れてるんですねー。」

【芹雄】:
「う…、うっせーよ、お前ら!!あーもー、ファンチーヌと藍玲に毒されてんじゃねぇか?」

【ファンチ-ヌ】:
「む?何よそれ〜。いつ私が毒づいたって言うの!?」

【芹雄】:
「えっ…気付いてないの?」

【ファンチ-ヌ】:
「ムキ―――!!謝れ―――!!」

【奈香】:
「ふふふっ…相変わらずですねぇ。」

【藍玲】:
「でも旅館の受付で審査員の募集みたいな事やってるなんて…何でかな?」

【芹雄】:
「あぁ、それはだな―――――………」



【藍玲】:
「…えっ………」


 『旅館 松本』芹雄達の部屋―――
夕食を終えた後、この部屋に藍玲を除く三人が集まっていた。

【奈香】:
「藍玲さん…どうしたんでしょうか…食事中あんなに静かな藍玲さん初めて見ました…」

【芹雄】:
「この旅館に来てからというもの…なんか雰囲気が違うよな。」

【ファンチ-ヌ】:
「そうね…さっきも、休むのかと思ったら外出したしね。」

【芹雄】:
「え?そうなのか?…どこに?」

【ファンチ-ヌ】:
「さぁ…どこ行くのか聞いたら、『ちょっと風に当たってくる』だったしね…」

【芹雄】:
「一人でメシ食いに行く雰囲気でもなかったしなぁ…」

【奈香】:
「心配ですね…でも、今はどうすることも出来ませんけど…」

【芹雄】:
「まぁ、宿はここなんだし疲れたら帰ってくるだろう。話は明日すればいい。」

【奈香】:
「そうですね。そうします。」

【ファンチ-ヌ】:
「それじゃ、もう休みましょうか。」

【芹雄】:
「ああ。おやすみ。」

≪ギィィ…バタン≫

【芹雄】:
(さて…と。どこに行ったのや……ん?)

 と、部屋には行かず、外に行こうと玄関に移動中、女将と数人の使用人に見送られる冒険者風の男を見つける。
ただ、『もうすぐ大会なんだから気をつけるんだよ』という話から察するに、ここの若旦那らしい。
冒険者風の格好で――しかもこんな夜更けに――何処へ行こうというのか。

【芹雄】:
(ま…俺には関係ないか…さて………)


 一方…藍玲は真夜中の公園の縁台に腰掛け、考え事をしていた。
芹雄が言ったあの知らせ。藍玲にとっては深い意味を持っていた。

【芹雄】『あぁ、それはだな。ここの旅館のご子息で若旦那兼料理長の『松本 高基』さんが出場するかららしい。』

【藍玲】:
「…やっぱり、高基の家だった…」

 以前…芹雄と出会う前、藍玲はこの松本高基という男と一緒に旅をしていた。
高基は旅館の一人息子であり、料理の達人でもあり、冒険者でもある。
冒険の目的は『最高の包丁を手に入れる事』であった。
そんな中、若い藍玲と出会い食という繋がりか、意気投合して一緒に旅をする事になった。
一緒に旅をして2年…世界最高の切れ味を持つという刀と最高の強度を持ち尚且つ凄まじい撓りを持つ剣の情報を得た高基は別れの言葉もなく、藍玲の前から姿を消した…
料理に熱い情熱を注ぎ、世界一を目指す高基に恋をしていた藍玲はしばらく立ち直れずにいた。
……それから3年。高基の事を忘れ芹雄と出会い、楽しく旅を続けていたが…

【藍玲】:
「目的の物を見つけて…帰って来たんだね…高基。」

≪ザ…≫

【松本】:
「ああ…そうだ。」

 夜中で人気のない公園に一人で黄昏ている若い女……藍玲の前に現れた一人の男…芹雄一行が宿泊してる宿の若旦那【松本高基】であった。
藍玲は外出するといってファンチーヌ達と離れた後、旅館の人に頼んで松本を呼び出したのだった。

【藍玲】:
「どうして…どうしてあの時黙って行ってしまったの?」

【松本】:
「お前に…心配をかけたくなかった…」

【藍玲】:
「嘘よ!あなたは私よりもその刀の方が大事だったのよ!だから…あの時のあなたの眼に映っていたのはその刀だけ…頭の中にあったのははその刀のことだけ…」

【松本】:
「……あぁ、そうだな…お前の言うとおりだ。嬉しかったんだ。夢を叶える為にどうしても必要な物だったから。その在処が判ったから。」

【藍玲】:
「だから…私を捨ててそこに向かったのね…」

【松本】:
「それは違う!!」

【藍玲】:
「何が違うと言うの!?貴方は私の気持ちに気付いていた筈…なのに、貴方は何も言わずに私を置いて行ったわ…」

【松本】:
「すまない…しかし、俺はお前の為に…」

【藍玲】:
「今更…そんな事言われても…私、今はもう新しいリーダーと旅をしているのよ。」

【松本】:
「そうか…」

【藍玲】:
「強くて頼りになるし、一緒に居て楽しい人よ。あの人と一緒なら私は幸せになれる…」

【松本】:
「……愛しているのか?」

【藍玲】:
「!……仮にそうだとして…あなたはどうするというの?」

【松本】:
「…………どうもしない…」

【藍玲】:
「…そう…意気地が無いのね。」

【松本】:
「違う!」

【藍玲】:
「何が違うのよ!?」

【松本】:
「俺は!…お前が幸せならそれでいいんだ…そう、思ってる…」

【藍玲】:
「ふふっ…やっぱりね、何も違わないじゃない…」

【松本】:
「……」

【藍玲】:
「貴方は変わってしまった。昔の貴方はもっと活き活きとしてた。」

【松本】:
「……そう…か…」

【藍玲】:
「私、仲間のところに帰るね…大会、頑張って。…さよなら。」

【松本】:
「あぁ、じゃぁな…」

 そして二人は再び別れた…

藍玲はその帰り道で一人寂しそうに、

【藍玲】:
「………ホント、バカ…」

と呟いた。

 
その宿に向かう藍玲を見ていた一つの影…
それはやがて藍玲の姿が見えなくなるのと同時に男が佇んでいる方向へと動いた――――


 そして、次の日の朝…
芹雄一行は宿酒場で朝食をとっていた。

【芹雄】:
「………」

【ファンチ-ヌ】:
「………」

【藍玲】:
「………」

【奈香】:
「………」

【ファンチ-ヌ】:
「…あ、この煮物おいし〜ぃ!ね?藍玲もそう思うでしょ?」

【藍玲】:
「…………」

【ファンチ-ヌ】:
「…あ、あはは…奈香はどう思う?」

【奈香】:
「ふえ!?え、あ…はい!そそそうですね。そう思います!えーと、あ。特にこの魚のすり身なんかは特に…」

【芹雄】:
「………」

【藍玲】:
「………」

【ファンチ-ヌ】:
「うぐ…」

 全く変わらないこの重っ苦しい雰囲気に堪らず呻き声を出すファンチーヌ。
しかも隣に座ってた奈香が振られた事に怒って小声で文句を言ってきた。

【奈香】:
「酷いじゃないですかファンチーヌさん!急に振るなんて!」

【ファンチ-ヌ】:
「ご、ゴメンねー…いや、だってさぁ…あの状況じゃ誰かに振るしかないでしょー…」

【奈香】:
「それもそうですけど…芹雄さんでもよかったじゃないですかー!」

【ファンチ-ヌ】:
「…芹雄…も、ねぇ…」

 黙々と食事をする芹雄。
会話に参加してもらおうと話しかけるファンチーヌ。

【ファンチ-ヌ】:
「ね、芹雄。これ美味しいよね?」

【芹雄】:
「…ん?ああ、そうだな。」

 と、一言言ってからまた黙々と食事し始めた。
そしてファンチーヌが奈香の方を向いて意思疎通。

【奈香】:
「…ですねぇ…」

 芹祖の雰囲気が昨日と違うことはなんとなく気づいていたようである。

そして、

【ファンチーヌ・奈香】:
「はぁぁ〜〜〜……」

と、溜息を吐くのであった…

 
 
 
 そして、日は流れあっという間に大会当日。
朝、芹雄一行は宿酒場で朝食をとっていた。
上のような食事を1週間も続いたらそりゃあんた。
黙々パーティ結成完了ですよ
そのテーブルだけ上に灰色のような紫のような、なんかどす黒いオーラの様なものが漂っている様に見えた。
その為、酒場のちょっとした恐怖になっていた。

 食事が終わり、各自部屋に戻る前、藍玲がようやく口を開く。

【藍玲】:
「あの…今日は大会の日だから…別行動に…」

 それを聞き、まってましたと言わんばかりに話し出すメンバー。

【芹雄】:
「ん。あぁ、審査員がんばれよ。」

【ファンチ-ヌ】:
「満足いくくらい食べてきなさい!!」

【奈香】:
「私たちも見に行きますからね。」

【藍玲】:
「うん…ありがとう。それじゃ。」

 そして、藍玲が先に部屋に戻った。
残ったメンバーはこの後のことを相談する。

【芹雄】:
「ま、奈香も言った事だし、皆で見に行くんだよな?」

【奈香】:
「え!?まさか芹雄さん、見に行かないつもりだったんですか!?」

【ファンチ-ヌ】:
「まさかそんな薄情な事はしないわよねぇ…芹、おっさん?

【芹雄】:
「誰がオッサンじゃ!しかもいちいち区切って言うな!!」

【奈香】:
「あ、やっと普通の芹、おっさんに戻りましたね。良かったですね、ファンチーヌさん。」

【芹雄】:
お前もッ!…って、だから区切っていうな!!しかも何が良かっただ!!こっちは悲しくて泣きそうだワイ!!」

【ファンチ-ヌ】:
「そうね。やっと安心できるわ〜。」

【芹雄】:
「しかも無視すんな!」

【奈香】:
「どうどう…」

【芹雄】:
「馬扱いするな―――――!!」

【奈香】:
「やですねぇ。馬じゃなくて豚ですよ。」

【芹雄】:
「豚でもいっsy…Σ(゚Д゚) ブタ!?豚と来ましたか!このマードモアゼルわは〜〜ン!?」

【ファンチ-ヌ】:
「まぁ、おっさん家畜はいいとして、集合何時にする?」

【芹雄】:
の"!?………おっさん…家畜…しかも無視……」

 とうとうマジ凹みする芹雄。

【ファンチ-ヌ】:
「あぁはいはい…そんな落ち込まなくても…」

【奈香】:
「そうですよ〜。いつものやり取りでしょう?」

【芹雄】:
「どうせ俺はおっさんだよ…」

 ちょっとやり過ぎたと感じたのか、詫びを入れる。

【ファンチ-ヌ】:
「ごめんごめん悪かったから。」

【奈香】:
「ちょっと言い過ぎましたね。ごめんなさい。」

【芹雄】:
「もういいよ…」

【ファンチ-ヌ】:
「あ、そう。だったらもういいわね。」

【奈香】:
「それじゃぁさっさと本題に入りますか。」

【芹雄】:
「………」
(判ってはいたけどなんか悲しい…)

【ファンチ-ヌ】:
「ここに来て2日目から芹雄、いきなり喋らなくなったでしょう?あれはなんで?」

【奈香】:
「別の言い方で、藍玲さんの様子がおかしくなった次の日ですね。」

【芹雄】:
「あぁ……そのことか。何でそんなことを聞くんだ。」

【ファンチ-ヌ】:
「な…なんでって、そりゃ仲間の事だもん。気になるでしょ。」

【奈香】:
「この約一週間…どれだけ私達が辛かったか…」

【芹雄】:
「…わかったよ。まぁ。今更言おうが黙ってようが…もう関係ないからな。」

【ファンチーヌ・奈香】:
「?」

【芹雄】:
「で…核々云々――――と。そういうことだ。」

<【ファンチ-ヌ】:
「……? は?何よ『かくかくしかじか』って…全然意味判んないわよ。」

【芹雄】:
「聞くな…暗黙の了解って奴だ。」

【奈香】:
「芹雄さん…誤魔化さずちゃんと答えてください!尤も(もっとも)…以後どう呼ばれるか…御気になさらないのなら別に構わないんですけどね…」

【芹雄】:
「ぐむ…っ!」

 と、意味ありげな視線をファンチーヌに向け、暗黙の了承を得…

【ファンチーヌ・奈香】:
「ねぇ?芹、おっさ――――

【芹雄】:
「HAHAHA!冗談だよ、お嬢さん方。今からちゃぁーんと話すからもちつきたまへ!」

【ファンチ-ヌ】:
「…アナタがね。」

【奈香】:
「あ、そろそろ時間のようですね。移動しながら話してもらいましょう。」

 と、最低限の荷物で宿を出て会場に向かう3人。
その道中、あの日の夜のことを話した。

【芹雄】:
「初日の夜…お前達と別れた後な、藍玲を探しに出掛けたんだよ。」

【ファンチ-ヌ】:
「え…一人で?」

【奈香】:
「なんで誘ってくれなかったんですか?」

【芹雄】:
「まぁ…あの状況じゃな。俺が相談に乗ればいいと思ったんだ。」

【ファンチ-ヌ】:
「ふーん…」

【芹雄】:
「何不満そうな顔してるんだ…正直に話してるぞ。」

【奈香】:
「…芹雄さん、本気で言ってます?」

【芹雄】:
「? ああ。」

【奈香】:
「…もういいです。続けてください。」

【芹雄】:
「?…で、どこにいるのか考えてたら、出場者の若旦那が玄関に居てな。それで――」

【ファンチ-ヌ】:
「…それって関係あるの?」

【奈香】:
「まぁまぁ…呼び名が掛かってるんですから芹雄さんは真面目ですよ。」

【芹雄】:
「………(ーー#)コイツ等…」

【ファンチ-ヌ】:
「あ…マズい…キレかけてる。」

【奈香】:
「ホラ!だから言ったじゃないですか!黙って聞いてましょう。」

【芹雄】:
「……続き話してええんかのぅ。」

 だんだん、どうでも良くなって来た芹雄。

【ファンチ-ヌ】:
「あ。はいはーい。宜しく〜。」

【奈香】:
「ささ!どうぞ私共俗物の事なぞ気にせずに!!」

【芹雄】:
「……(まぁいいか。)んで、『もしや』と思って付いて行った訳だ。」

【ファンチ-ヌ】:
「なにかあると思ったんだ。珍しいわね、男尾けるなんて。」

【奈香】:
「ですよねー。相手が男だと空気以下の扱いをするのに。」

【芹雄】:
「だな。ほんで、行き着いた先は何の変哲もない公園だったよ。」

【ファンチーヌ・奈香】:
「否定無しかい!」

 と心の中でツッコむファンチーヌと奈香。

【ファンチ-ヌ】:
「で、結局無駄足だったんだ。」

【芹雄】:
「いや、予感的中だった。」

【奈香】:
「え…ということは居たんですか!?藍玲さん…」

【芹雄】:
「ああ…で…まぁ…なんだ。修羅場ってた。」

【ファンチ-ヌ】:
「……は?」

【奈香】:
「……え、ってことは――あの二人、恋人だったんですか。」

【芹雄】:
「まぁそういうことだな。」

【ファンチ-ヌ】:
「へぇー。で、どうなったの?また付き合うことになったの?」

【奈香】:
「…じゃぁ、その人もこのパーティに入ることになるんですね?」

【芹雄】:
「いや、そうじゃなk―――」

【ファンチ-ヌ】:
「もぅ…奈香?察しなさいよ。芹雄が男を自分のPTに入れるはずないでしょ?一緒に旅して結構経つでしょ?」

【奈香】:
「はっっ!そうでした!芹雄さんは男と知ると隣町への護衛依頼ですら蹴る鬼のような人でした!」

【芹雄】:
「いや…まぁ、それは否定せんが…それより話……」

【ファンチ-ヌ】:
「でしょう?男しか居ない酒場に入ろうともしない人よ?」

【芹雄】:
「……いや、それ言い過ぎ…」

【奈香】:
「そうですね!肩にぶつかった人が男だったら問答無用で一閃する人でしたね!」

【芹雄】:
「帰る!!」

【ファンチ-ヌ】:
「あー、もー。冗談だってー。すぐ本気にするんだからー。」

【奈香】:
「器のちっさい男ですねぇ。」

【芹雄】:
「ぐっ…ぬ。」

【ファンチ-ヌ】:
「お。効いてる効いてる。やるわね、奈香。」

【奈香】:
「いえいえそれ程でも…」

【芹雄】:
「…犯すぞお前ら。」

【ファンチ-ヌ】:
「はいはい、いつでもどうぞー。」

【奈香】:
「そんなことより続きを。」

【芹雄】:
「…話すからもう茶々入れんなよ…」

【ファンチーヌ・奈香】:
「はーい。」

 『本当に判ってんのかこいつら…』と思いつつも話の続きを語る芹雄。

【ファンチ-ヌ】:
「…え。ということは…」

【奈香】:
「藍玲さん、振ったんですか…」

芹雄】:
「ん。…でもま、未練ありまくりの様子だったがな。」

【ファンチ-ヌ】:
「ふーん…そんなことがあったんだ。」

【奈香】:
「芹雄さんはその後どうしたんですか?」

【芹雄】:
「俺?俺は相談とかそういう問題じゃなくなったのと、藍玲が宿に戻ったのを確認できたから俺も自分の部屋に戻って寝たよ。」

【ファンチ-ヌ】:
「もー、そこで相談に乗ってあげないと駄目でしょー?」

【奈香】:
「まぁまぁ…芹雄さんには芹雄さんなりの考えがあるんですから。ね?」

【芹雄】:
「ん…?いや、特に。」

【ファンチ-ヌ】:
「はぁ…クールなのか冷酷なのか単なるバカなのか…」

【奈香】:
「あ、あははー…でも芹雄さん。ただ見てただけ…って事は無いですよね?」

【芹雄】:
「………ふん。その辺もさすが、と言うべきか?」

【奈香】:
「ではなにか助言を?」

【芹雄】:
「まぁ一応な…だが、1点だけ不安なことがあるな…」

【奈香】:
「?」

【芹雄】:
「まぁ、大した事じゃないんだが…いや、物凄く大事な事なのか…?………っと、会場に着いたか。ま、あとは成るようにしか成らん。あの男がどう出るか、見てみる事にしよう。」

【ファンチ-ヌ】:
「おーい、受付済ませて席の場所聞いたわよー。2人とも早くー。もう始まるってさー。」

【奈香】:
「早っ!っていうか、もうそんな時間ですか…行きましょうか、芹雄さん。」

 そして…いよいよ料理の鉄人決定戦が始まる…


【司会者】:
「はーい、今年もやってまいりましたー!世界一の料理人を決める『天下一食闘会』!」

【芹雄】:
「な…なんか名前に無理が無いか…」

【セリオス】:
[いいんです。余裕も無いし。]

【ファンチ-ヌ】:
「あ、審査員の紹介してる…あ、藍り…ん…?」

【奈香】:
「わー、藍玲さん化粧して特別な衣装着てる…綺麗ぇ〜…」

【芹雄】:
「ほほう…なかなか。」

【ファンチ-ヌ】:
「さすがに特別審査員(ゲスト)ともなると扱いが違うわねー。」

【奈香】:
「っていうか、単に冒険者自体色気づいてないだけじゃないでしょうか?」

【芹雄】:
「…それはそれで。」

【ファンチ-ヌ】:
「…アナタは単に若いオナゴなら誰でもいいんでしょ。」

【奈香】:
「面倒臭いんですからいちいちツッコミさせないでください。」

【芹雄】:
「スイマセン…」
(何で俺謝ってんの?)

 その後料理人たちの紹介もされ、誰が藍玲の相手――『松本高基』――かを教える。
そしていよいよ第1回戦…その男の料理(バトル)が始まった―――

【奈香】:
「――そういえば芹雄さん。あの人の不安要素って何なんですか?」

【ファンチ-ヌ】:
「え?何そのネタ?」

【芹雄】:
「ネタって…まぁ、あの後の話なんだが―――」

――――――<回想>―――――――

【松本】:
「藍玲…くっ……」

≪ジャリ…≫

【???】:
「ったく…女々しい男だな…」

【松本】:
「ッ!誰だ!」

【芹雄】:
「俺の名は芹雄。」

【松本】:
「芹雄…?そうか、アンタが藍玲の…」

【芹雄】:
「あぁ。悪いがさっきの話は聞かせてもらった。」

【松本】:
「そうか…」

【芹雄】:
「へぇ…立ち聞きしてたところは問わんのか?」

【松本】:
「そんな気分じゃないだけだ…」

【芹雄】:
「ったく…大の男が女に振られた位でめそめそめそめそ…鬱陶しい。」

【松本】:
「五月蝿いな…放っといてくれ!お前なんかに俺の気持ちが解って堪るか!」

【芹雄】:
「あぁ解んねぇな。」

【松本】:
「へっ…勝利者の余裕かい?人が愛してる女連れて…さぞいい気味なんだろうなぁ。」

【芹雄】:
「…たく…だから解んねぇっつってんだよ。」

【松本】:
「え?」

【芹雄】:
「そんな恥ずかしい台詞、なんで俺には言えて藍玲には言えねぇんだ?」

【松本】:
「それはっ!……今更…面と向かってそんな事が言える立場じゃないからさ…」

【芹雄】:
「何があったかはさっきの話で大体解ってるが…なら実力で奪えばいいだろう。その帯刀(も)ってる村雨でな。」

【松本】:
「く…これは…使いたくないんだ。」

【芹雄】:
「何でだ?捜し求めていた強力な刃物じゃないか…あぁ、そうか。料理だけに使うって事か。」

【松本】:
「いや、違う…これを手に入れたとき…そのダンジョンに居たモンスター(食材)で切れ味とその出来上がりを試したんだ。」

【芹雄】:
「…相手は何だ?」

【松本】:
「ミノタウロスと、アイボールだ。」

【芹雄】:
「…なるほど。一人で戦(や)ったのか?」

【松本】:
「あぁ…確実に手に入れたかったからな。一人で行って一人で料理(や)った。」

【芹雄】:
「…ほう。腕は確かなようだな。」

【松本】:
「しかし…不思議な…いや、嫌な感覚だった。意思を乗っ取られたような…とにかく逸早くそいつ等を絞めて調理してやりたい…とそんな考えで頭の中が一杯になった。」

【芹雄】:
「ふむ……む?」
(ナンカオカシクナイデスカ?)

【松本】:
「で、気付いた時には絞め(戦闘)は終ってて、食材(モンスター)の血が全て綺麗に無くなってたんだ。」

【芹雄】:
「い、いや…それは絞めたのではなくて、村雨が吸ったんd――」

【松本】:
「しかも俺の身体にも傷があってな。やはり相当暴れたんだな…傷の数が尋常じゃなかったな!」

【芹雄】:
「いや、それも村雨の呪いで相手斬ったら自分も傷つくんだ――って、お前俺の話聞いてるか!?」

 なんかヒートアップして勝手に熱く語り始めた松本。
話が逸れ始めたので慌てて注意して止める芹雄。

【松本】:
「む…申し訳ない。話を戻そう。で、その絞めたモンスターで仕上げた――」

【芹雄】:
「!?ちょっ!ちょっとまて!!」

【松本】:
「何だ?」

【芹雄】:
「なんだ、その『出来上がり』とか『仕上げ』って…」

【松本】:
「調理して試食したという事だが?」

【芹雄】:
「おプッ!」
(モンスターで作った料理を試食!?)

 吐きそうになったのを辛うじて止めた芹雄。

【松本】:
「で、出来たのが『ミノタウロス―――」

【芹雄】:
「……ままままままてまてまてまて!?相手は?ミノタウロスは判った!牛だ!牛肉だな!?ああああああとのもう一品は!?使ってないよな?な!?」

【松本】:
「――風味のアイボール姿焼き、アイボールゼリーを添えて』。」

 ≪げブシゃーッ!≫≪ビシャッビタタッ!!≫
想像したイメージのあまりのインパクトにとうとう胃の物を噴出してしまう芹雄。
同時に立眩みの所為で膝を突く。

【松本】:
「お、おお?どうした行き成り!?大丈夫か?」

【芹雄】:
「大丈夫かって…俺が聞きたい…」

【松本】:
「何がだ?」

【芹雄】:
「何が、って…出来上がったソレ……食ったのか?」

【松本】:
「当たり前じゃないか!」

【芹雄】:
「ウプ…で…美味かったか…?」

【松本】:
「ああ!最高に!」Σd ビシッ

 芹雄の問いに親指まで立てて最高の笑みで肯定した。
臨界点付近まで意識が飛ぶ芹雄。この時点で『こいつの味覚はどうかしてる。』と気付く。

【芹雄】:
「で…ちと質問があるんだが…」

【松本】:
「何だ?」

【芹雄】:
「その…『ミノタウロス風味のアイボー…ウ"ぷ!ル(中略)添えて』の前は…?」

【松本】:
「美味かったぞ。」

≪バキィッ!!≫≪ズシャァー!!≫

【松本】:
「ヴふっ!?な、何をするんだ!」

【芹雄】:
「…キサマは認識力と言うものも欠けているようだな……その前に何を食ったのかと聞いている!」

 ……が、言った後に自分は何と愚かな質問をしたのだろうと激しく後悔し、
≪ゲブッ…ゲヴブシュゥ……≫
再び吐いた……

 

 

【芹雄】:
「う"……で、結局はその意識が奪われるという感覚が嫌で使うのを止めているんだな。」

【松本】:
「? いや、そうじゃない。」

【芹雄】:
「は…?では何だというんだ?」

【松本】:
「無事ダンジョンから生還して、いよいよ世界最高峰の刃を手に入れた俺はつい嬉しくなってな…近くの町の酒場で、その腕と刃を振るったんだ。おっと、もちろん食材に、だぞ?」

【芹雄】:
「あぁ…判ってる。」
(この男が滞在してる期間のその酒場は悲惨だったんだろうなぁ…)

【松本】:
「しかし…食材を刻もうと村雨を持った瞬間…意識が飛んだんだ…」

【芹雄】:
「ま…まさか、その場に居た人間全員殺し…っ!?」

【松本】:
「え?ははっ、まさか。調理道具でそんなことは出来ないさ。」

 『呪われた 武 器 なんですけどーっ!!』
とは思っても口に出さない(出せない)芹雄であった。

【松本】:
「それで、気付いたら料理が完成してるんだよ…」

【芹雄】:
うげ…そりゃー可哀相に…(客が)

【松本】:
「あぁ…最悪だよ。どう料理したのか覚えてない、というのもあるけど…それ以上に出来上がった物が俺が作りたい物とは全然違うんだ。」

【芹雄】:
「え…?と、いうことは?」

【松本】:
「そりゃあ確かに美味く出来てはいたさ。客も歓喜して食べてくれた…」

【芹雄】:
「おお!良かったじゃないか!!(客が)

【松本】:
「え?まぁ、喜んで食べて貰えるというのは料理人にとって最高の報酬なんだろうけども…」

【芹雄】:
「? 結局何が不満なんだ?」

【松本】:「俺は新しい、誰も知らないような料理を作りたいんだ!あんな一般料理人が作る物じゃない!あの刃を持つ度…俺はどんどん駄目になって行く気がするんだ!」

 その答えを聞いて、芹雄は結論を出した。
コイツの料理人としての目標は間違っている

と――――

【芹雄】:
「で――もう1本、ダマスカスソードはどうなんだ?」

【松本】:
「あぁ、あれか。アレは便利だな。欠ける事が無いし、良く撓る。デカイ万能包丁って感じだな。切れ味は出刃に劣るけど。

【芹雄】:
「劣るのかよ!!」

――――――<回想終了>―――――――

【芹雄】:
「とまぁ…こんな感じだ。」

【ファンチ-ヌ】:
「……えー……と…」

【奈香】:
「……あの…なんていうか…」

【ファンチ-ヌ】:
「それって、不安要素って言うか……」

【奈香】:
「料理人として致命的な欠点だと思うんですけど…」

【芹雄】:
「まぁ、なんでこの大会に出場する気になったのかは不明だが…」

【ファンチ-ヌ】:
「その前になんで出場できるかが不明だわ…」

【奈香】:
「ちょっと有り得ないですよねー…」

【芹雄】:
「ま、この大会で奴は何かするつもりだ。」

【ファンチ-ヌ】:
「あ、そっか。村雨使えばいいんだもんね!」

【奈香】:
「なるほど!常軌を逸したあの人でもそれを覆す呪われた刃があれば!」

【芹雄】:
「…果たして勝ってもいいのか――」

【ファンチ-ヌ】:
「え?何?何か言った?」

【奈香】:
「あ、次あの人の番ですよ!」

 いよいよ始まった松本の料理勝負1回戦…すると…
松本は妖刀村雨を抜いた……

【芹雄】:
「あんのバカ野郎が…」

 村雨とダマスカスソードを使った料理は素晴らしく、対戦者を圧倒し、どんどん勝ち抜いて行った。
事情を知っている為、喜ぶファンチーヌと奈香。しかし…やってる事が気に食わない芹雄と…
最高に美味い筈の高基の料理を食べても寂しそうな表情をする藍玲…しかし評価は周りに合わせているみたいで高評価である。
そしてとうとう決勝・鉄人決定戦まで上り詰めた。

【ファンチ-ヌ】:
「芹雄!凄いよあの人!ていうか、あの刀!凄い効果じゃない……って、あれ?」

【奈香】:
「…あの、芹雄さんどうしたんですか…気分が優れないのですか…?」

【芹雄】:
「悪い。すげームカついてるから今は話し掛けないでくれ。」

【ファンチ-ヌ】:
「うっ…凄い殺気…」

【奈香】:
「す、すいません…」

【ファンチ-ヌ】:
「どうしたんだろう芹雄…」

【奈香】:
「誰かに賭けてたんじゃないでしょうか……」

【ファンチ-ヌ】:
「あぁ、成る程!その人が最初の方で負けちゃったもんだから、それで苛々してるのか!」

【奈香】:
「もぅ…まだまだ子供なんですねぇ…終ったら慰めてあげましょうか。」

 と、勝手な解釈をされてる芹雄であったが…
とうぜん、原因は松本にある。芹雄の予想では1回戦で作戦をやると思っていたからだ。
それがいつまで経ってもやらない…勝利に目が眩んだ、と考えているのである。

【芹雄】:
「あの野郎…決勝終った時点でブチ殺してやる…」

 更に迫力と範囲を増す殺意の波動。周囲の気温が3℃ほど下がった。
隣では巨大なドラゴンに睨まれてるリスのようにビクビク怯えている女性2人が座っていた…

 そして決勝の開始のドラが鳴り響く…そして松本高基は妖刀村雨を――

【ファンチ-ヌ】:
「……なっ」

【奈香】:
「……えっ」

―――帯を解いて鞘ごと投げ捨てた―――

【芹雄】:
「…ふっ。ふふふっ…なるほど。こういう事か。やるじゃないか。」

【ファンチ-ヌ】:
「ちょっ、芹雄!あの人自爆する気よ!?」

【奈香】:
「どうしましょう!!審査員の方々の生命の危機です!!

【芹雄】:
「さぁ?俺はもう知らん…ま、楽しい事になるんだろうけどな。クックック…」

【ファンチ-ヌ】:
「あ…あ、あ……芹雄までおかしくなっちゃった…」

【奈香】:
「あぁぁあぁあ…藍玲さん…気付いてくださいー気付いたら逃げて下さ―――ら、藍玲さん?」

 心配した奈香が見たのは――とても嬉しそうにワクワクしながらその料理を見ている藍玲の姿であった。

【奈香】:
「こ…これはいったい…」

【ファンチ-ヌ】:
「ど…どうしたの、奈香!あなたまで…」

 ワナワナと震える奈香に異変を感じ、話し掛けた後、その視線の先に目をやるとその光景が…

【ファンチ-ヌ】:
「ら…藍玲…?どうしたって言うの…」

 ――楽しそうに笑う藍玲は何度も見たが、あんなに嬉しそうにしている藍玲は見たことが無い――
ファンチーヌと奈香の頭の中はその事で一杯だった。

 

 

そしてとうとうバトル終了――
まずは対戦者からの審査。
さすがに決勝に上がって来た者だけあって上々の評価である。かなりの評価を貰って下がった後…ついに松本の番である。
松本が金属の半球状の蓋をした大きな丸皿を運んできてテーブルの真ん中に置いた…藍玲は今か今かとキラキラした目でそれを見つめる。
いよいよ松本高元が――自分の意思で――作った料理が現れる。そして―――

最 大 の 恐 怖 が 今……開 か れ る……

《ガパァ……》≪モワぁ…≫
開けられた瞬間、一気に紫とも緑とも取れる摩訶不思議な色の湯気が吹き出てきた。

【審査員達】:
「うっ!……?」

 『凄い臭いがするに違いない!』と体が反応したのであろうが、様々なものが混じったその『臭い』という魔物は、いろんな物が相殺し合って全くの無臭へと変貌を遂げていた

そしていよいよ『湯気』と言う名の瘴気が晴れると、そこに現れたのは―――

≪ガタッガタガタ!≫≪ビクッ!ビクビクッ!!≫

【審査員達】:
『ヒィィッ!?』
 

審査員達が見て恐怖した、それは…

 

 

魔界が皿の上で具現化されていた

という光景。
しかし…

【藍玲】:
「いや〜ん!何これ〜!!スッッゴーイ!!」

 …と、滅茶苦茶楽しそうだった

 そして、審査員達はふらつく足取りで再び席に戻り、目の前で皿に分けられる魔界を見て恐怖しながら配膳されるのを死刑宣告を受けた囚人並の恐怖の面持ちでガタガタ震えて座っていた。
藍玲は嬉々として、というか最早、目を輝かせ小さなハートを撒き散らしてるようなそんな面持ちで配膳されるのを待っていた

 

 『さすがにこれは食べなくてもいいだろう…』と、視線を作った本人に向けると…

いつの間に取り戻したのか、妖刀村雨を杖代わりに床に立てて仁王立ちして魔王の如く目を光らせている松本高元がそこに居た…
『断ったら殺される!!』という恐怖がそれを食す恐怖に勝ったようで、覚悟を決めて匙を取った……
そして、いよいよ死食。審査員達は震える手でその様々な色の付いた食材の塊…最早自主規制でモザイクが掛かっててもおかしくないような物体に匙を突っ込む。

≪ごブジュるゥ…≫

【審査員A】:
「うっゎ………」

得体の知れない生命の横っ腹に手を突っ込んだようなそんな嫌な振動と感覚に顔が引きつる審査員A。

≪キキキキキキキ……≫

【審査員B】:
「ヒィィィィ――――!!!!」

掬った物体から聞こえて来た奇妙な音に慄く審査員B。

≪ピチャ…ピチャ…≫

【審査員C】:
「あ…スープが垂れ…て……!!?ッみぎゃあああああああああああ!!!!!」

匙から垂れた液体(スープ)がテーブルに垂れた音が聞こえたので見ると赤黒い血のような色をしてるのに恐怖し絶叫する審査員C。

≪……ヒク(スゥ)…ペロッ≫ ≪ビクン!≫    ≪ガクッ…≫

【審査員D】:
「ぎゃお―――――――――――――!!!!」

とうとう亜死見(あじみ)をしてしまい、三途の川にダイヴしてしまった審査員D…

 そして…

≪グチャっ…にちゃぁ………パクッ…≫

 藍玲が食べた。

『おぉっ…』

口に入れただけで歓声が湧く。

『食べたぞ、あの女…』『可哀相に…特別審査員になったばっかりに若い命を…』『若い女子にあんなことをさせるなんて…世も末だねぇ…』

などと、なにか罰ゲームか公開処刑でもやってるような意見が飛ぶ始末。

【藍玲】:
「うっ……」

【ファンチ-ヌ】:
「!?ら、藍玲――!!!」

【奈香】:
「はっ、早く救護班を――!!」

 藍玲のその態度についに我慢の限界を感じた二人が立ち上がって半狂乱で叫び始めた。

【芹雄】:
「まぁ、落ち着け。お前ら。」

 それをクールに対処する芹雄。しかし、ぜんぜん落ち着かない二人に対し芹雄は最終手段に出る。

≪ズビシッ!≫×2

 奥義頚動脈チョップ。これで静かになった。

 一方藍玲は…

【藍玲】:
ヌルヌルしてムカムカする舌触り…気持ち悪い歯応え…イライラするこのしつこい後味の悪さ…

 何かブツブツ言い始めた――と思ったら、

【藍玲】:
「この肉(?)!一見汁が滴りジューシーに見えるけど…噛んでみると身はパサパサボロボロ…味なんてあったもんじゃない! しかも回りは味の悪いソースでヌルヌル。これだけで嫌な感じが出てるわー!んで?この下に敷いてるこのうねうねしたのは何?…麺?にしては太さがバラバ…ちょっと待ちなさいよ。なんで饂飩とパスタが入ってるわけ? しかも…うわ、何5cm単位で刻んでんのよ、アンタは!!麺の意味無いでしょうが!え…饂飩・パスタの他に日紫蕎麦・竜江蕎麦・ビーフンもある?5種類の麺によるハーモニー?種類の意味が違ーう!! でも何気に全部丁度いい茹で上がり状態ってのがさすがね… そして、皿料理なのに何故かある泥鰌鍋!何?これ普通の豆腐じゃないでしょ。変に柔らかいし… あぁ…だから色がおかしいのか。豆腐ようだ!っていうかありえねー!!何鍋の具材にしてるの、あんた!しかも中に入ってる泥鰌…これ『入った』じゃなくて『入れた』でしょ? それじゃ泥鰌鍋の意味無いでしょうが!で、何?泥鰌じゃないし…泥鰌の形に切った……笹?せめて食える物にしろよ!!アホか!!―――」

 と、鬱憤が溜まっていたのか一気に爆発。物凄いマシンガントークで料理の駄目出しをする藍玲。
しかし、表情はいたって楽しそうである。
そして駄目出しが続く中…

【芹雄】:
「おぉーい、あいつ性格変わってるぞー。はっはっは。」

【ファンチ-ヌ】:
「これが…藍玲の本来の姿…?」

【奈香】:
「完全にキャラ変わってますねー…っていうか、別人?」

 仲間の方は楽しいのか引いてるのか困惑してるのか、訳解らないといった状況になっている。
そして駄目出しはまだ続いていた…

【藍玲】:
「――あとはこのソースね…この血見たいなソース…え?スープ?でも後からかけてたわよね…しかもこのトロミが効いて… で?何使ったの…梅干・黒酢・レモン汁・イチゴのすり身…何ちゅー組み合わせしてんのよ!あんた、人殺す気!? え?甘酸っぱさを極めてみた――って、程度ってもんがあるでしょうが!!甘さなんて微塵も感じない位の酸っぱさよ!って、これじゃスープと呼べる代物じゃないわよ!ボケてんじゃいの!? これホント凄いわねー、食と言う範疇を超えて…いえ、これはもう兵器ね!レッドドラゴンですら一撃で殺せる破壊力持ってるわ―――!!」

【芹雄】:
「う…うおぉ…」

【ファンチ-ヌ】:
「…良くそんな物口の中に入れれるわね…」

【奈香】:
「あの…色々言ってる割には、まだ食べてるんですけど…」

【ファンチ-ヌ】:
「藍玲のグルメってさ…前食べてた物が悪すぎて普通の食べ物でもグルメになっちゃっただけじゃないの?」

【奈香】:
「いえてますねー。彼氏に作って貰った料理がアレですからねー。普通の料理でも美味しー美味しーって食べてたのはこういう事ですかー。」

【ファンチ-ヌ】:
「いやー、でも彼氏もかわいそうに…あんなに滅茶苦茶に言われて…って、あれ?」

 見ると、当の松本は恍惚の表情であった

【芹雄】:
「マゾかあいつ…」

【奈香】:
「うーん…まぁ、それも愛の一つですよ。」

【ファンチ-ヌ】:
「いや、奈香。そうかもしれないけどでも問題ありよ。」

【藍玲】:
「高基…」

 一通り平らげて、高基の傍に駆け寄る藍玲…

【松本】:
「藍玲…俺は…」

【藍玲】:
「ううん!言わなくてもいいでしゅよー。もっきゅんがこの料理を作ってくれたから全部解ったでしゅ!」

【芹雄】:
「おー。またキャラ違うぞー。」

【ファンチ-ヌ】:
「凄いねー。多重人格って奴かな。」

【奈香】:
「あそこまでコロコロ変わる人も稀ですねー。貴重ですー。」

 と、ラブラブモードが発生したところで司会者が出てきてシビアにこう言った。

【司会者】:
「松本高基さん、おめでとう御座います。大会新記録のマイナス400点獲得で失格&退場&大会永久追放獲得ですー!とっとと会場から出て行けー!!」

 と、ナイスなオチ付きで大会は終了した。


 ―――旅館・松本―――
とりあえず4人は宿に戻って酒場でくつろぐ事にした。
松本は家族に呼ばれて奥へ引っ込んでしまった。

【芹雄】:
「いやー、なかなか楽しい見世物だったなぁ。まっはっは。」

【奈香】:
「芹雄さんの言ってる楽しいの意味は違うんでしょうけどねー。」

【藍玲】:
「あははー。芹さん相変わらず手厳しいアルねー。」

【ファンチ-ヌ】:
「…またキャラ変わってるし。」

【芹雄】:
「ま。俺的には作戦通りいったんで満足してるがな。」

【ファンチ-ヌ】:
「え、何よ作戦って。」

【奈香】:
「あー、そういえばブチギレ寸前になる前にそんなこと言ってましたねぇ…」

【藍玲】:
「え?何々?何の話?」

【芹雄】:
「んー、何て言うかー。藍玲の悩み解決にと思ってやったことなんだがな。実は…」

【ファンチ-ヌ】:
「うんうん。」

【芹雄】:
「かくかくしかじ―――」

【ファンチ-ヌ】:
「それはもういい―――!!」

≪めきょっ!≫
と、嫌な音と共に芹雄の顔面の中央にファンチーヌの拳がめり込んだ。
奈香に恩恵札を使って貰い、この前の話の続きを語る芹雄。

―――――――<回想>―――――――

 

【芹雄】:
「結論からすると―――その二本の刃は自分にはあまり必要なかった、という事だな。」

【松本】:
「まぁ…そうなるかな。」

【芹雄】:
「ところで、アンタが作った料理…藍玲に食べさしたのか?」

【松本】:
「ん…実は作ってもあまり食べてはくれなかったんだが…」

 『だろうな。』
とは思っても(以下略。)

【松本】:
「いつも俺の料理に色々言ってくるんだが…すごく楽しそうだった。」

 そういう松本の顔は照れ臭そうに笑っていた。

【芹雄】:
「ふ…ん。なるほどな。だったらお前ら全然やり直せるじゃねーか。チャンスもあるし。」

【松本】:
「な!?どういうことだ?」

【芹雄】:
「あんた…今度の料理大会に出場するんだろう?」

【松本】:
「あぁ。それが?」

【芹雄】:
「ならその料理大会で作った料理を作るんだ。」

【松本】:
「…つまり勝ち抜いて優勝した料理を藍玲に食べさせるのか?」

【芹雄】:
「いや、藍玲はその大会の特別審査員だ。」

【松本】:
「…なっ…本当か。何で――」

【芹雄】:
「で、自分の料理を藍玲に作るんだ。」

【松本】:
(…質問には答えてくれんのか。)

【芹雄】:
「解ったか?」

【松本】:
「解るが…そんな事言わなくとも審査員ならば自然と食べる事になるのでは…?」

【芹雄】:
「そうなんだが、俺が言いたい事は意味がちょっと違う。」

【松本】:
「……」

【芹雄】:
「自分の意思で、自分の腕で作った、キサマの『本来の料理』、だッ!!」

【松本】:
「ッ!!」

 ≪ビシッ!≫
と指差して格好よくキメたつもりだったが、
どんな料理を作るかちょっと想像して吐きそうになり、結局格好悪く終った。

【芹雄】:
『ウッぷ…』「…いいか、絶対村雨を使うんじゃないぞ。思い出の料理さえ作れば気持ちが伝わるはずだ…『グぷっ!』」

―――――――<回想終了>―――――――

 

【芹雄】:
「――とまぁ、こんな感じで村雨使わないで料理作れと言った訳だ。」

【ファンチ-ヌ】:
「なるほど…しかし解らない事があるわね。」

【奈香】:
「奇遇ですね。私もですよ。」

【藍玲】:
「…そんな事をして貰ってなんだけど…ワタシも…」

【芹雄】:
「な…なんだよ。」
(どうせ『男と話す事が信じられない』とかそんなんだろ…)

【ファンチ-ヌ】【奈香】【藍玲】
「なんでその時村雨奪わなかったのよ。」
「芹雄さんってやっぱりそのがあったんですね…」
「芹さんも下手物食い仲間だったアルか…」

【芹雄】:
「ちょっとまてぇーい!!

【ファンチ-ヌ】:
「あ、怒った。」

【奈香】:
「肯定?」

【藍玲】:
「うわっ危なッ!ゲテ菌が移る!!

【芹雄】:
「煩ぇ黙れ!大体何だファンチーヌ!俺は善と秩序の戦士だぞ!奪うとか有り得んわ!」

【ファンチ-ヌ】:
「でも強奪したりはしてたんでしょ?」

【芹雄】:
「しっ…てない…とは言わんが過去の話だ…

【奈香】:
「してるんじゃないですか。」

【藍玲】:
「この偽善者が。ペッ」

【芹雄】:
「ううう煩いっての!次、奈香!性格知ってて何でそんな事言うかな!?そんな事は絶・対・に!あ り え ん !!」

【奈香】:
「えー、だって『嫌も嫌も好きの内』って昔から言うじゃないですかー。」

【ファンチ-ヌ】:
「えぇ〜ッ!?そうなだー!やっぱり芹雄って…ゴニョゴニョ

【藍玲】:
「いやっ!サイテー!近寄らないで!この○モ!」

【芹雄】:
「死なすぞおどれらー!!藍玲も!吐きそうになったって言ってるのに何でそんな事を言うんだ…」

【藍玲】:
「え?その料理が食べれるワタシが羨ましいから話してたんじゃなかったアルか?」

【ファンチ-ヌ】:
「…ゴメン藍玲…さすがにそれはフォローできないわ…」

【奈香】:
「どうノッていいか判りませんよー。」

【芹雄】:
「頼むから真面目に…」

【ファンチ-ヌ】:
「はいはい。そろそろ飽きて来たし。」

【奈香】:
「そうですね。いい加減、ノッてあげてる気にもなれってんだ、バーカ。ッてかんじですもんねー。」

【藍玲】:
「お腹空いたアル…」

 ≪ボカッ!≫
取り合えず一発ずつ殴っておいた。

【芹雄】:
「――で、これからどうするか、だな。俺はもう明日にでも出発したいと思ってるけどな。」

【ファンチ-ヌ】:
「えぇっ?あ、明日ぁ?そりゃまた急ねぇ…」

【奈香】:
「まぁ、長居した方ですからねー。そろそろ出発しないと。本業は冒険者なんですから。」

【藍玲】:
「あー…そうアルかー…んー…」

 その事を聞き、藍玲が顎に指を当て考えてると…

【松本】:
「やぁ、皆さん!お揃いで!何かご相談ですかな?ん〜?」

【芹雄】:
「お前までキャラ変えてくんな!!」

【藍玲】:
「あ、もっきゅ〜ん。お帰りぃ〜!!」

【ファンチ-ヌ】:
「うぁこっちもだよ…あー、いちゃいちゃし始めたわよ…あの二人…」

【奈香】:
「ちょっとついていけませんねぇ…」

【芹雄】:
「…んで?家族と話してたんじゃなかったのか。」

【松本】:
「ああ。それでな、隠居した親父に『お前はウチの大恥だ!出て行け!』って言われて勘当されたんだよ。あははー参ったね、こりゃ。」

【ファンチ-ヌ】:
「……まぁ、そうでしょうね…」

【奈香】:
「…ですねぇ…料理長があんな物ばっかり作るって広がったら、潰れますね。確実に…」

【藍玲】:
「いや〜ん、もっきゅん可哀相〜〜!!」

 その藍玲のテンションに引く芹雄だが、なんとか平静を装って話を続けた。

【芹雄】:
「……d、で…冒険者に戻るって訳か。」

【松本】:
「そういうこと。まぁ、この二本の刃もあるしそんなに困らないだろう。取り合えず、こんなことにはなったがあんたには世話になった。礼を言う。」

 そう言って頭を下げる松本。

【松本】:
「んじゃ…ま、そういうことで。俺はもう行くよ。機会があったらまた会おうぜ。」

【藍玲】:
「え…高基、一人で行くの?」

 『また性格変わってるよ、オイ。』と思っても決して口に出さない3人であった…

【松本】:
「まぁな…さすがに他所のメンバーを引き抜きは出来ないだろう?」

【藍玲】:
「だ…だって!あの…約、約束…

【松本】:
「あぁ…でも、結局優勝できなかったしな…次の機会までおあずけ――」

【藍玲】:
「そ、そんなの関係ないよ!高基は私と結婚したいの!?したくないの!?」

【松本】:
「そんなこと…したいに決まってるだろう!」

【藍玲】:
「だったら…いいでしょ?私と一緒に…」

【松本】:
「あぁ…そうだな。スマン…俺が愚かだったよ。俺と…一緒に居てくれ、藍玲!」

【藍玲】:
「ウン!有難う、高基!…それで、芹さん――」

 と、何か訊ねようと芹雄に振り向く藍玲。
この瞬間、ファンチーヌと奈香は背筋が凍りつくと思うほどの悪寒を感じた。
脳裏を過ぎる芹雄のゲ テ 話

【藍玲】:
「私、松本 高基さんと結婚したいの。彼と一緒に行きたいんだけど、いいですか?」

【芹雄】:
「んー…申し訳な――」

【ファンチーヌ・奈香】:
「お断りします!!」

 『え!?』と2人を見るほか3人。

【芹雄】:
(リーダーである俺の立場は…?)

 と、ますますリーダー格を希薄に感じる芹雄と…

【藍玲】:
(まさかこの二人に断られるとは思わなかった…)

 と、意外な人に断られてショックを受ける藍玲。
当の松本は訳がわからず首を傾げてるだけだった。

【藍玲】:
「そう…じゃぁ私は彼と一緒に行くから冒険はここまでですね。さよなら。」

 と、呆気ない別れ方で藍玲は去って行った……

 
【ファンチ-ヌ】:
「……いっちゃったわねぇ…」

【奈香】:
「はい…しばらく寂しくなりますね。」

【芹雄】:
「なぁ…俺の決定権は?」

【ファンチ-ヌ】:
「芹雄煩い!!」

【奈香】:
「まったく…仲間の別れだというのに血も涙も無いってこういう人の事を言うんですね!」

【芹雄】:
「はぁ…わかったわかった…んじゃ、俺は部屋に戻るから。明朝出発するから飯食ったら広場に集合なー。」

【ファンチ-ヌ】:
「…はぁ…はいはい!早く去ね!この甲斐性なし!!」

【奈香】:
「根暗さんはとっとと部屋に戻って隅っこでいじけてて下さい。」

 とあしらわれ、部屋に戻る芹雄。
一人になって漸く気が落ち着いてきた。思えばこの状況にさせてくれたあの二人の思い遣りだったんだなと気付く。
『明日…礼を言ってもいいか。』などと思い、ベッドに倒れる。
そして掌を顔に当てて『ちょっといらん事したなぁ』と後悔する芹雄だった――


 長らくお待たせした二十七章も漸く完成ですー…あー、しんどかった!と。
まぁ、次はいつになるか判らんけど。まぁ気長に待ちなさいよ。あっはっは…はぁ…_| ̄|○

続…筈
第二十七章

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