ルナティックドーン 前途への道標
〜剣士【芹雄】の冒険記〜

〜 第七章 〜

お仕事しましょ



 竜江国首都・砂海都市を出発して16日…日紫国首都・東方都市に辿り着いた芹雄一行。

芹雄:「…よし、着いた。早速買い物に行くぞ〜!」

ファンチーヌ:「ねぇ、ずっと気になってたんだけど…何でこの国の武器なの?竜江の武具じゃ駄目なの?」

芹雄:「ん ?あぁ。ここの防具は優れているからね。軽くて硬い鎧と強い兜が売ってあるからさ。」

 喋りながら武器屋へとやってきた。迷う事無く【腹当】【星兜】を買い、最高まで強化。そして店を出て武器と共に渡す。

芹雄:「はいよ、お待たせ!中級クラスの防具だが強い割に動きやすい防具で役に立つぞ。」

 着用する二人。外見は…凄く豪華な日本兜を被って赤胴付けた足軽。こりゃダサい。

藍玲:「…なんか、中途半端な【サムライ】…って感じアルね…」

ファンチーヌ「ダサ…」(ボソッ)

芹雄:「文句言うなー!強いんだから!嫌だったら服の下に着けなさい!兜は探索中だけ被ればよろしい!」

 当然、そうする二人。芹雄は【黄金兜】常着

藍玲:「…でも芹サンの言う通り、軽くて動きやすいアルね。それに強化してあるし。」

ファンチーヌ:「そうね。変に着飾って死ぬよりはマシだわね。良く考えると良い防具をもらったわ。」

芹雄:「判れば宜しい。では武器を渡すよ。【鉄尺】と【大刀】があるけどどっちがいい?」

藍玲:「…どうしてコレを選んだアルか?」

芹雄:「これらかい?これらは射程が2あって、後列からでも敵に届く武器なんだ。
だから、前衛は俺に任せてもらって二人には後ろから援護をお願いしたいんだ。」

ファンチーヌ:「へえ。結構考えてるのねぇ。そこらの無駄に装備だけ凄い奴等とは違うわね。じゃ、私は【大刀】を使わせてもらうわね。 …でも、私達だって、そこまで弱くないし信頼して頼って欲しいわ。」

芹雄:「そんな。勿論信頼してるし、援護も頼ってる。それに…」

二人:「…? それに?」

芹雄「俺は二人が傷付き苦しむ姿は見たくないんだぁ!」(嘘涙)

ガァァァーソ!激しくショ〜ック!

藍玲:「…あ、あう…そんなに仲間を大切に扱うヒト…初めてネ…ワタシ感激したヨ…ちゃんと言う通りにするネ!」

ファンチーヌ:「…うん…私もよ。私はあなたの仲間になれた事を誇りに思うわ。言う通り、後衛で援護してる!背中は任せて!でも…あなたも無理しないでね。」

芹雄:「二人とも…ありがとう。気を付けるよ。」

 …と言う感じであっさり二人の気を引く事に成功。酷い話だがあの言葉はタテマエだったりする。(普通バレるか通じないと思うが…)。

芹雄:(只でさえ弱いんだから、前衛なんかに出したらすぐ死んでしまうぢゃないか。
(それに俺への攻撃が逸れるし、後衛にいれば敵の攻撃も滅多に当らんし。一石二鳥だね。フフフ…。)


 装備もそれなりに整ったところで、宿屋の酒場で食事兼休憩をとる芹雄一行…

藍玲:「む!こ、これは…」

ファンチーヌ:「ど…どうしたの藍玲…何か見つけたの?」

藍玲:「む………」

芹雄:「『む』?」

 俯いてふるふると振るえている藍玲を心配しながら見つめる芹雄とファンチーヌ。様子を窺っていて、いきなり顔を上げたかと思うと…

藍玲「むほー!美味い、美味いにゃりーアル〜!」

 と、叫んだ。美味さに感動してたようだ…

芹雄:「…ん"、ゲフン!さて、そろそろ仕事を受けたいと思うんだが、どうだろう?」

ファンチーヌ:「そうね。修行する程経験値も無いし、何もしないわけにも行かないわね。適当に仕事をこなして行きましょう。」

藍玲:「そうアルね!いっぱい仕事して大金持ちになるアル!そうしたら世界中の美味しい物が…アウアウ…」

 涎を垂らしながら夢の世界へトリップする藍玲。周りからクスクスと笑い声が聞こえた。

ファンチーヌ:「ちょっ…藍玲!目を覚ましなさい!恥ずかしい!……もぉ…」

芹雄:「はは…ま、取り敢えず斡旋所に行こうか。」

 ―宿屋・仕事斡旋ギルド―

 張り出されている仕事に目を通す芹雄。取り敢えず即日で、速攻終るもの…当然アレだ。丁度一件あった。

芹雄:(…ふむ…これでいくか。)

 依頼の書かれた紙を手に取った。そこに藍玲がやってきた。

藍玲:「あ!見つかったアルか? なになに? どんな仕事アルか!?……………………え…?」

 ピキッ…見た瞬間、藍玲が凍った。と同時にファンチーヌもやってきた。

ファンチーヌ:「あ、丁度良いのが見つかったのね。何をするの? …って、藍玲が固まってるんだけど…どうしたの?」

芹雄:「…いや、これ見たら固まっちゃって…」

ファンチーヌ:「? どれどれ?……………………ヒッ!?ちょ、ちょっと…やめてよ。こんな恐い冗談…」

 「冗談」という言葉を聞いて藍玲が我に帰った。

藍玲:「…な、なんだ〜…冗談だったアルか〜。吃驚したヨ…」

芹雄:「え? いや、冗談じゃなくてさ。討伐依頼だよ。【九尾のキツネ】の。」

 あっけらかんと言い放つ芹雄の言葉を聞いた瞬時、さすがに二人とも凍りついた。このくらいの強さの敵なら芹雄には常勝出来る相手だが、冒険者見習で装備も中級のこの二人は 一撃食らうと間違い無く即死。アホでもない限りこんな無謀な事はしない。

ファンチーヌ:「ちょっとまってよ!さっきの言葉は何だったの?これじゃぁ死にに行くようなものだわ!」

 成る程。確かに傷は付くけど即死なら苦しむ姿は見ないな

芹雄:「え!?い、いや大丈夫だって!後列にいたら当らないって。それに相手は一匹だし、他の敵は避ければいいし…」

藍玲:「絶対無理アル…とても生きて帰れる保証無いヨ…ワタシまだ死にたくない!」

 批難の嵐。これはマズイと感じた芹雄は…

芹雄:(これはいかん…別の仕事を…!)「な…な〜んちゃって!う・そ・さ!ホ、ホントはコレだよ〜ん!」

 と言って別の依頼の紙を手に取った。それは基本中の基本…【買物】と【宅配】だった。

芹雄:「いやはや、ごめんな〜。まさかそんなに驚くとは思わなかったんで…ヤッパ最初に討伐はないよね〜。」

 内心(ちっ)とか(ホッ)とか思ってるが、ここで仲間を(オナゴを)失うわけにはいかんので偽って誤魔化しておく。 当然、二人から怒られ「こんな冗談は二度としないで!」と念をおされた。

ファンチーヌ:「…で?どういった内容?」

芹雄:「うむ!…え〜と?…隣の深森の町の宿屋に【呪いの菊人形】を届ける【宅配】と …その町の道具屋に売ってる【越中ふんどし】を買ってくる【買物】依頼だ。」

藍玲:「…な、なんでそんな気味の悪い物を…」

芹雄:「え"っ!い、いや〜…宅配はこれしかなかったし、同じ町に買物の対象があったからさ〜…」

 偶然なんだけど。適当に選んだからな…

ファンチーヌ:「…まぁ私達にはこういうのが妥当ね。…ちょっと怪しいけど。私はこれでいいわ。」

藍玲:「…チョト、モノが嫌だけどワタシもいいアル。」

芹雄:「うし、決定。んじゃ手続きしてくるからここで待っててくれ。」

 と、カウンターから結構離れた位置で仲間に言い放つ。

藍玲:「? いいケド、何故一人で行くアルか?みんなで行ったらいいアルよ。」

芹雄:「え…い、いや…あ!そう。こんなしょぼい依頼を受けるんだから恥ずかしいじゃないか。恥をかくのは俺一人でいいよ。」

 本当はここで数回一人で討伐をした事があり、ここのオヤジには顔を知られているので 気軽に話しかけられると常連だとバレるのが心配だからである。ちなみに第一章のオヤジは違う町の人なので。

ファンチーヌ:「なに言ってるの…?そんな事全然気にしないわよ。私達は仲間でしょ。一人の恥は全員の恥よ。」

芹雄:「そ、そう!?じゃぁ、一緒に行くか…」

 芹雄はオヤジに気軽に話し掛けられない事を心から祈っている。嫌な汗かきまくり

 ――――さて、いつまでこいつは嘘を通す事が出来るのか!?皆でバレないことを祈ろうゼ!!

     次回、いよいよ初仕事に挑戦だ!


第七章

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